リンパ節生検が診断に有用であった肝硬変に合併した結核性腹膜炎, 結核性リンパ節炎の1例

「要旨」:62歳, 女性. C型肝硬変症に対してインターフェロン・リバビリン併用療法を受けたが効果は乏しく, 経過観察中であった. 入院の6カ月前から少量の腹水を認めていたが, 3カ月前には特に誘因なく腹部膨満感, 腹水増加を認めた. 腹水は血性, 滲出液であり, 入院精査の結果, 縦隔, 腋窩, 鎖骨上窩リンパ節腫大も認めたことから, 悪性疾患の合併も考え, 腋窩リンパ節生検による診断を試みた. その結果, リンパ節の病理組織像や同検体の核酸増幅検査(PCR)にて結核菌群遺伝子が陽性であったことから, 結核性リンパ節炎と考えられた. 腹水の培養や腹水を材料にしたPCRでは結核菌は証明されなか...

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Veröffentlicht in:結核 2012-12, Vol.87 (12), p.765-769
Hauptverfasser: 古賀丈晴, 石井邦英, 島一郎, 田口順, 上村知子, 迫田順, 上野隆登
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:62歳, 女性. C型肝硬変症に対してインターフェロン・リバビリン併用療法を受けたが効果は乏しく, 経過観察中であった. 入院の6カ月前から少量の腹水を認めていたが, 3カ月前には特に誘因なく腹部膨満感, 腹水増加を認めた. 腹水は血性, 滲出液であり, 入院精査の結果, 縦隔, 腋窩, 鎖骨上窩リンパ節腫大も認めたことから, 悪性疾患の合併も考え, 腋窩リンパ節生検による診断を試みた. その結果, リンパ節の病理組織像や同検体の核酸増幅検査(PCR)にて結核菌群遺伝子が陽性であったことから, 結核性リンパ節炎と考えられた. 腹水の培養や腹水を材料にしたPCRでは結核菌は証明されなかったが, 腹水アデノシンデアミナーゼ高値から結核性腹膜炎と判断し, 抗結核薬投与により加療した. その結果, 腹水やリンパ節腫大が改善した. 結核性腹膜炎では結核菌が証明されない場合も多く, 診断が困難な場合があるが, 特に肝硬変症に合併した結核性腹膜炎では非代償性肝硬変に伴う腹水などとの鑑別を要する. 本症例ではリンパ節炎を伴っており, リンパ節生検が診断に有用であった.
ISSN:0022-9776