低蔓延状況下の結核医療体制

「要旨」: 〔目的〕欧米先進国とわが国における医療提供体制の現状および改正予防指針を対比し, 今後の体制再構築のための方策を考察する. 〔方法〕英国, 米国, ドイツ, オランダ, ノルウェーの視察の結果および文献等によって得られた情報をもとに, 医療提供体制, DOTSの実施, 入院施設, 入院対象患者と期間について検討を行った. 〔結果〕欧米では医療と保健・予防業務の一体的提供が多かった. DOTは米国とノルウェーでは全例対象の方針であったが, 英国では対象を選択して実施, ドイツでは限定的な実施であった. 感染性患者の対応は, 自宅隔離, 治療開始後2週間程度の入院, 喀痰塗抹陰性化まで...

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Veröffentlicht in:結核 2012-09, Vol.87 (9), p.577-584
Hauptverfasser: 加藤誠也, 伊藤邦彦, 高鳥毛敏雄, 大角晃弘, 田中慶司, 石川信克
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「要旨」: 〔目的〕欧米先進国とわが国における医療提供体制の現状および改正予防指針を対比し, 今後の体制再構築のための方策を考察する. 〔方法〕英国, 米国, ドイツ, オランダ, ノルウェーの視察の結果および文献等によって得られた情報をもとに, 医療提供体制, DOTSの実施, 入院施設, 入院対象患者と期間について検討を行った. 〔結果〕欧米では医療と保健・予防業務の一体的提供が多かった. DOTは米国とノルウェーでは全例対象の方針であったが, 英国では対象を選択して実施, ドイツでは限定的な実施であった. 感染性患者の対応は, 自宅隔離, 治療開始後2週間程度の入院, 喀痰塗抹陰性化まで入院の3群に分けられた. 医療の質の確保のために, 医療機関の集約化, 技術支援の強化, 専門家養成や資格制度の創設, 専門家のネットワーク化が行われていた. 〔考察〕医療機関と保健所の連携の必要性は日本に特徴的方策と考えられた. DOTの実施の有無よりも, 患者中心の支援によって治療成功につなげることが重要と考えられた. 入院期間の短縮には感染性の消退と患者の社会的状況の的確な評価が必要である. 医療の質の確保の枠組みは予防指針に概ねあるが, 実効性の担保が課題である.
ISSN:0022-9776