術後対麻痺を合併した待機的腹部大動脈瘤手術の1例

腎動脈下腹部大動脈瘤手術の対麻痺の合併は稀であり,待機例では0.1–0.2%と報告されている.今回,待機的腹部大動脈瘤手術に脊髄虚血による対麻痺合併症例を経験した.患者は79歳男性.最大短径50 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤に対し待機的に手術を施行した.両側腎動脈下で遮断し,中枢は腎動脈下大動脈と人工血管を吻合,末梢は人工血管と両側内外腸骨動脈をそれぞれ吻合し再建,腰動脈は刺通結紮した.術後より対麻痺が出現し,MRIにて脊髄梗塞の所見であった.リハビリテーションを継続したが,両下肢対麻痺,感覚障害,膀胱直腸障害は改善しなかった.腹部大動脈瘤術後の対麻痺は確実な予防法はなく,ひとたび発症すると機能...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2024/01/25, Vol.33(1), pp.17-20
Hauptverfasser: 河村, 圭一郎, 山下, 洋, 郷右近, 祐司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:腎動脈下腹部大動脈瘤手術の対麻痺の合併は稀であり,待機例では0.1–0.2%と報告されている.今回,待機的腹部大動脈瘤手術に脊髄虚血による対麻痺合併症例を経験した.患者は79歳男性.最大短径50 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤に対し待機的に手術を施行した.両側腎動脈下で遮断し,中枢は腎動脈下大動脈と人工血管を吻合,末梢は人工血管と両側内外腸骨動脈をそれぞれ吻合し再建,腰動脈は刺通結紮した.術後より対麻痺が出現し,MRIにて脊髄梗塞の所見であった.リハビリテーションを継続したが,両下肢対麻痺,感覚障害,膀胱直腸障害は改善しなかった.腹部大動脈瘤術後の対麻痺は確実な予防法はなく,ひとたび発症すると機能予後は不良である.稀な合併症ではあるが,術前説明において本症の発生について十分に言及することが重要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00072