心臓カテーテル治療後の手背橈骨動脈穿刺部仮性瘤を契機に診断された後天性血友病の治療例

カテーテル穿刺部仮性瘤は血管外科医として日常遭遇する.一方,後天性血友病Aは第VIII因子に対する自己抗体が原因となる非常に稀な疾患であり致命的な大出血をきたす.今回,カテーテル穿刺部の仮性瘤形成を契機に後天性血友病Aと診断し,経過中に急性胆囊炎を併発し治療に苦渋した症例を経験した.症例は79歳男性.亜急性心筋梗塞治療後の手背橈骨動脈仮性瘤で当科へ入院となった.左手背の血腫,上肢,体幹の広範な皮下出血を合併し,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time: APTT)延長が遷延したことから精査を行い,後天性血友病Aと診断した.経過...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2023/03/23, Vol.32(2), pp.87-91
Hauptverfasser: 漆野, 恵子, 嶋岡, 徹, 池田, 元彦, 木村, 龍範
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:カテーテル穿刺部仮性瘤は血管外科医として日常遭遇する.一方,後天性血友病Aは第VIII因子に対する自己抗体が原因となる非常に稀な疾患であり致命的な大出血をきたす.今回,カテーテル穿刺部の仮性瘤形成を契機に後天性血友病Aと診断し,経過中に急性胆囊炎を併発し治療に苦渋した症例を経験した.症例は79歳男性.亜急性心筋梗塞治療後の手背橈骨動脈仮性瘤で当科へ入院となった.左手背の血腫,上肢,体幹の広範な皮下出血を合併し,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time: APTT)延長が遷延したことから精査を行い,後天性血友病Aと診断した.経過中に急性胆囊炎を発症し全身状態の悪化をみたが,経皮経肝胆囊ドレナージ,内視鏡的経乳頭的胆囊ステント留置を行い救命しえた.重症の出血傾向を示す患者で遷延するAPTT延長を認めた場合は本症を鑑別に考えて早期の治療介入,併発疾患への適切な治療方針を決定する必要がある.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22-00089