IgG4関連弓部大動脈瘤の術後に肺胞出血を合併し治療の指標に赤血球沈降速度が有用であったIgG4血管炎の一例

症例は80歳男性.胸痛精査のCTで弓部大動脈に囊状瘤を認め,待機的に弓部大動脈全置換術を施行した.術後の覚醒は問題なく,翌日に抜管した.しかし術後3日目に血痰と右肺のconsolidationを認め,さらに術後15日目には突然の右大量血胸をきたしショック状態に陥った.その後,術中に切除した大動脈瘤壁の病理組織から多数のIgG4陽性形質細胞を認め,IgG4血管炎と判明した.水溶性プレドニゾロンを投与開始すると,速やかに肺野CT所見の改善が得られた.IgG4と肺病変の関連が示唆されたが,肺生検には至らず不明であった.IgG4関連疾患ではCRPの上昇が認められないことが多く,赤血球沈降速度(赤沈値)...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2023/02/23, Vol.32(1), pp.73-77
Hauptverfasser: 三輪, 駿太, 神谷, 賢一, 松林, 優児, 森, 陽太郎, 髙島, 範之, 鈴木, 友彰
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は80歳男性.胸痛精査のCTで弓部大動脈に囊状瘤を認め,待機的に弓部大動脈全置換術を施行した.術後の覚醒は問題なく,翌日に抜管した.しかし術後3日目に血痰と右肺のconsolidationを認め,さらに術後15日目には突然の右大量血胸をきたしショック状態に陥った.その後,術中に切除した大動脈瘤壁の病理組織から多数のIgG4陽性形質細胞を認め,IgG4血管炎と判明した.水溶性プレドニゾロンを投与開始すると,速やかに肺野CT所見の改善が得られた.IgG4と肺病変の関連が示唆されたが,肺生検には至らず不明であった.IgG4関連疾患ではCRPの上昇が認められないことが多く,赤血球沈降速度(赤沈値)が鋭敏な指標とされている.本症例でも赤沈値を治療指標にステロイド容量を調節し,良好な治療結果を得た.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22-00090