再発性脳梗塞を発症した,上行大動脈原発の血管肉腫に対する1手術例

大動脈原発性の血管肉腫は稀な疾患である.症状は非典型的であり,非腫瘍性病変と類似した画像所見であることから診断が困難であり,また病状の進行が早く,予後は極めて不良である.本症例では55歳女性が再発性脳梗塞のため入院し,上行大動脈から下行大動脈近位に可動性のある構造物を認めたが,画像所見を含め術前検査では診断に至らず,確定診断および塞栓症予防のため手術を行った.中等度低体温循環停止下に大動脈切開すると上行大動脈から下行大動脈近位の内腔に腫瘍を疑う構造物を認めた.可及的に大動脈壁,腫瘍を切除しオープンステントグラフトを併用した上行弓部大動脈置換を行った.病理検査で血管肉腫の診断に至ったが,放射線療...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2021/11/09, Vol.30(6), pp.329-333
Hauptverfasser: 櫻井, 啓暢, 黒木, 秀仁, 山本, 諭, 白井, 俊純, 染谷, 毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:大動脈原発性の血管肉腫は稀な疾患である.症状は非典型的であり,非腫瘍性病変と類似した画像所見であることから診断が困難であり,また病状の進行が早く,予後は極めて不良である.本症例では55歳女性が再発性脳梗塞のため入院し,上行大動脈から下行大動脈近位に可動性のある構造物を認めたが,画像所見を含め術前検査では診断に至らず,確定診断および塞栓症予防のため手術を行った.中等度低体温循環停止下に大動脈切開すると上行大動脈から下行大動脈近位の内腔に腫瘍を疑う構造物を認めた.可及的に大動脈壁,腫瘍を切除しオープンステントグラフトを併用した上行弓部大動脈置換を行った.病理検査で血管肉腫の診断に至ったが,放射線療法,化学療法の適応はなく,緩和治療中に脳転移による意識障害が出現し術後19日目に死亡した.今回非常に稀な上行大動脈原発の血管肉腫の症例を経験した.本報告により今後の早期診断,治療に寄与したいと考える.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21-00044