仮性動脈瘤との鑑別が困難であった橈骨動脈に発生した血管平滑筋腫の1例

症例は42歳女性.右手関節に橈骨動脈に沿った疼痛を伴う拍動性腫瘤を主訴として当院を紹介受診した.8カ月前に他院で子宮体癌の手術を受けており,手術時の動脈圧ラインのための橈骨動脈穿刺による仮性動脈瘤の可能性が高いと思われた.造影CTでは最大径17 mmほどに拡大した橈骨動脈を認めたが血管内腔は4 mmほどであった.破裂予防と疼痛除去のため手術を行った.全身麻酔下で動脈瘤摘出術を行い,切除後は端々吻合で再建した.術後の病理組織診断では,橈骨動脈に発生した血管平滑筋腫であった.血管平滑筋腫は下肢に好発する良性腫瘍であり,疼痛を伴うことが多い.橈骨動脈に発生した報告はこれまでになく,稀な疾患である.原...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2020/10/01, Vol.29(5), pp.299-301
Hauptverfasser: 池田, 脩太, 山本, 清人, 藤井, 孝之, 錦見, 尚道
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は42歳女性.右手関節に橈骨動脈に沿った疼痛を伴う拍動性腫瘤を主訴として当院を紹介受診した.8カ月前に他院で子宮体癌の手術を受けており,手術時の動脈圧ラインのための橈骨動脈穿刺による仮性動脈瘤の可能性が高いと思われた.造影CTでは最大径17 mmほどに拡大した橈骨動脈を認めたが血管内腔は4 mmほどであった.破裂予防と疼痛除去のため手術を行った.全身麻酔下で動脈瘤摘出術を行い,切除後は端々吻合で再建した.術後の病理組織診断では,橈骨動脈に発生した血管平滑筋腫であった.血管平滑筋腫は下肢に好発する良性腫瘍であり,疼痛を伴うことが多い.橈骨動脈に発生した報告はこれまでになく,稀な疾患である.原因不明の動脈瘤を認めた場合は鑑別疾患として挙げることが望ましい.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.20-00051