総肝動脈再建を要した膵十二指腸動脈瘤の一手術例

膵十二指腸動脈瘤(PDAA)は稀な疾患であるが,破裂の危険があるため治療を要する.46歳男性.1型糖尿病で外来通院中,腹部造影CTで最大短径20 mmのPDAAを指摘され当科へ紹介された.術前血管造影で腹腔動脈(CA)に90%の狭窄を認め,上腸間膜動脈(SMA)からPDAを介し総肝動脈と脾動脈が造影されたことから,CAの血流がSMAに依存していると考えられた.瘤はSMA分岐部直後から発生しており,開腹血行再建が妥当と考えた.CAは全周性に萎縮していたため再建は困難で,PDAのクランプテストで総肝動脈の拍動減弱を確認したため,腹部大動脈–総肝動脈バイパスを行い,PDAAの切除を実施した.PDAA...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2019/06/04, Vol.28(3), pp.199-203
Hauptverfasser: 栃窪, 藍, 菊地, 信介, 竜川, 貴光, 三宅, 啓介, 内田, 大貴, 東, 信良
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:膵十二指腸動脈瘤(PDAA)は稀な疾患であるが,破裂の危険があるため治療を要する.46歳男性.1型糖尿病で外来通院中,腹部造影CTで最大短径20 mmのPDAAを指摘され当科へ紹介された.術前血管造影で腹腔動脈(CA)に90%の狭窄を認め,上腸間膜動脈(SMA)からPDAを介し総肝動脈と脾動脈が造影されたことから,CAの血流がSMAに依存していると考えられた.瘤はSMA分岐部直後から発生しており,開腹血行再建が妥当と考えた.CAは全周性に萎縮していたため再建は困難で,PDAのクランプテストで総肝動脈の拍動減弱を確認したため,腹部大動脈–総肝動脈バイパスを行い,PDAAの切除を実施した.PDAAやSMA瘤は腹腔動脈狭窄に伴う側副血行路の発達に起因することが多く,CAの開存,瘤の発生部位と分枝や本幹との解剖学的制約を考慮し,適切な治療方針の検討が重要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00017