神経線維腫症患者の後腹膜腫瘍切除中の大動脈損傷に対するステントグラフト内挿術による修復例

症例は30歳,男性.神経線維腫症I型に対して当院整形外科で加療中であった.CTで後腹膜腫瘍を認めていたが,徐々に増大傾向を示しPET-CTでもFDG陽性集積を認めたため,悪性転化として腫瘍切除の方針となった.腫瘍が大動脈に近接していたため,出血時の手術協力を依頼された.手術当日,大動脈からの出血に対して縫合止血を試みたが大動脈壁が非常に脆弱であり,縫合止血は困難であった.ステントグラフトを留置することで止血が得られ腫瘍を切除できたが,止血するまでの間に大量出血をきたした.神経線維腫症I型は大動脈壁の脆弱性が指摘されており,縫合止血はさらなる血管損傷につながる恐れがあり危険である.出血リスクが非...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2019/02/26, Vol.28(1), pp.95-98
Hauptverfasser: 千代谷, 真理, 谷口, 哲, 齊藤, 良明, 大徳, 和之, 福田, 幾夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は30歳,男性.神経線維腫症I型に対して当院整形外科で加療中であった.CTで後腹膜腫瘍を認めていたが,徐々に増大傾向を示しPET-CTでもFDG陽性集積を認めたため,悪性転化として腫瘍切除の方針となった.腫瘍が大動脈に近接していたため,出血時の手術協力を依頼された.手術当日,大動脈からの出血に対して縫合止血を試みたが大動脈壁が非常に脆弱であり,縫合止血は困難であった.ステントグラフトを留置することで止血が得られ腫瘍を切除できたが,止血するまでの間に大量出血をきたした.神経線維腫症I型は大動脈壁の脆弱性が指摘されており,縫合止血はさらなる血管損傷につながる恐れがあり危険である.出血リスクが非常に高い疾患であることを念頭におき,手術の際には十分な準備をして臨むことが重要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00053