大動静脈瘻を合併し急性心不全を呈した破裂性腹部大動脈瘤に対し緊急ステントグラフト内挿術を施行した1例

症例は80歳男性.突然の腹痛,背部痛を主訴に前医受診し,腹部造影CTにて大動静脈瘻(ACF)を合併した破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)を認めたため,治療目的に当院紹介搬送となった.搬送直前に急性心不全を呈し,当院到着後直ちに気管挿管を行い,緊急ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術後速やかに血行動態は安定し,術後1年6カ月後の造影CTでは,type II endoleakの消失と瘤内の完全な血栓化を確認でき,瘤径は著明に縮小した.ACFを合併したRAAAにおいて,EVAR単独治療は根治療法ではないが,緊急時の初期治療として有効であり,術後も詳細な検査で適切な評価を行い,慎重に経過観察を...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2018/05/28, Vol.27(3), pp.197-200
Hauptverfasser: 辻, 龍典, 小林, 豊, 川上, 敦司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は80歳男性.突然の腹痛,背部痛を主訴に前医受診し,腹部造影CTにて大動静脈瘻(ACF)を合併した破裂性腹部大動脈瘤(RAAA)を認めたため,治療目的に当院紹介搬送となった.搬送直前に急性心不全を呈し,当院到着後直ちに気管挿管を行い,緊急ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術後速やかに血行動態は安定し,術後1年6カ月後の造影CTでは,type II endoleakの消失と瘤内の完全な血栓化を確認でき,瘤径は著明に縮小した.ACFを合併したRAAAにおいて,EVAR単独治療は根治療法ではないが,緊急時の初期治療として有効であり,術後も詳細な検査で適切な評価を行い,慎重に経過観察を行うことで,残存するACFの自然閉鎖やtype II endoleakの消失が期待できる.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00072