慢性B型解離性胸腹部大動脈瘤の再解離,切迫破裂に対して胸部ステントグラフト内挿術と偽腔プラグ塞栓を行った1例

症例は77歳女性,発症時期不明のB型大動脈解離の既往がある.胸背部痛で当院に救急搬送され,慢性B型解離性胸腹部大動脈瘤の再解離と診断し,降圧安静治療を行った.胸部下行大動脈は大きく蛇行し,右胸腔内を走行していた.2週間で瘤径の急速拡大を認めたため,切迫破裂と診断した.BMI 39と高度肥満の高齢者であり,胸部下行大動脈の解剖学的特徴から胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるentry閉鎖と偽腔プラグ塞栓による治療を行った.術後1週間の造影CT検査で偽腔の血栓化を認めた.対麻痺等の術後合併症はなく,術後10日目に独歩で退院した.術後1年の造影CT検査では偽腔は縮小傾向であった.B型大動脈...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2018/04/03, Vol.27(2), pp.103-107
Hauptverfasser: 湯本, 啓太, 松下, 明仁, 角田, 優, 服部, 隆司, 三原, 和平, 朝倉, 利久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は77歳女性,発症時期不明のB型大動脈解離の既往がある.胸背部痛で当院に救急搬送され,慢性B型解離性胸腹部大動脈瘤の再解離と診断し,降圧安静治療を行った.胸部下行大動脈は大きく蛇行し,右胸腔内を走行していた.2週間で瘤径の急速拡大を認めたため,切迫破裂と診断した.BMI 39と高度肥満の高齢者であり,胸部下行大動脈の解剖学的特徴から胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるentry閉鎖と偽腔プラグ塞栓による治療を行った.術後1週間の造影CT検査で偽腔の血栓化を認めた.対麻痺等の術後合併症はなく,術後10日目に独歩で退院した.術後1年の造影CT検査では偽腔は縮小傾向であった.B型大動脈解離の遠隔期に開胸手術が困難な症例に対して,ステントグラフト治療は選択肢の一つであり,偽腔血流をコントロールする方法として偽腔プラグ塞栓法も有効と考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00081