脊髄虚血による術後対麻痺を合併した炎症性腹部大動脈瘤破裂の1例
炎症性腹部大動脈瘤破裂に対する緊急手術後に,対麻痺を合併した症例を経験したので報告する.症例は81歳,女性.腹痛を主訴に当院に救急搬送された.CTにて,腹部大動脈瘤の周囲にmantle signと思われる強い造影効果を認め,後腹膜腔に多量の血腫が貯留していた.炎症性腹部大動脈瘤破裂と診断し,緊急手術を施行.腎動脈下腹部大動脈で血行遮断し,人工血管置換術により救命しえたが,術後に下肢対麻痺を認めた.腎動脈下腹部大動脈瘤手術の脊髄虚血の発生は極めて稀である.脊髄虚血の予防には,大動脈遮断時間を短縮すること,脊髄根動脈やAdamkiewicz動脈への血流を維持するために周術期の低血圧の回避が重要であ...
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Veröffentlicht in: | 日本血管外科学会雑誌 2017/10/18, Vol.26(5), pp.271-274 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 炎症性腹部大動脈瘤破裂に対する緊急手術後に,対麻痺を合併した症例を経験したので報告する.症例は81歳,女性.腹痛を主訴に当院に救急搬送された.CTにて,腹部大動脈瘤の周囲にmantle signと思われる強い造影効果を認め,後腹膜腔に多量の血腫が貯留していた.炎症性腹部大動脈瘤破裂と診断し,緊急手術を施行.腎動脈下腹部大動脈で血行遮断し,人工血管置換術により救命しえたが,術後に下肢対麻痺を認めた.腎動脈下腹部大動脈瘤手術の脊髄虚血の発生は極めて稀である.脊髄虚血の予防には,大動脈遮断時間を短縮すること,脊髄根動脈やAdamkiewicz動脈への血流を維持するために周術期の低血圧の回避が重要である.ステントグラフト内挿術の治療選択も含め,文献的考察を加え検討した. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.17-00064 |