内腸骨動脈閉塞併用による腹部ステントグラフト内挿術適応拡大の安全性に関する検討
要旨:【目的】腹部大動脈瘤に腸骨動脈瘤を伴う場合,内腸骨動脈コイル塞栓術を追加することでステントグラフト治療の適応は拡大する.一方,内腸骨動脈コイル塞栓術に伴って臀筋性跛行が生じることが問題となる場合があり,われわれは上臀,下臀動脈の交通を温存し,またコイルからEVAR へ一定の期間を空けることで側副血行路の発達を促し,臀筋性跛行の予防に努めているが,本治療戦略の安全性について検討した.【方法】2008 年10 月から2015 年2 月までにEVAR 165 例のうち,EVAR+ 内腸骨動脈コイル塞栓術を施行した71 例(片側54 例,両側17 例).【結果】臀筋性跛行の発生率は17/71 例...
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Veröffentlicht in: | 日本血管外科学会雑誌 2016, Vol.25, pp.240-245 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 要旨:【目的】腹部大動脈瘤に腸骨動脈瘤を伴う場合,内腸骨動脈コイル塞栓術を追加することでステントグラフト治療の適応は拡大する.一方,内腸骨動脈コイル塞栓術に伴って臀筋性跛行が生じることが問題となる場合があり,われわれは上臀,下臀動脈の交通を温存し,またコイルからEVAR へ一定の期間を空けることで側副血行路の発達を促し,臀筋性跛行の予防に努めているが,本治療戦略の安全性について検討した.【方法】2008 年10 月から2015 年2 月までにEVAR 165 例のうち,EVAR+ 内腸骨動脈コイル塞栓術を施行した71 例(片側54 例,両側17 例).【結果】臀筋性跛行の発生率は17/71 例(22.9%)で,臀筋性跛行発生例と非発生例では,それぞれ体重 66.2±12.1 kg/58.1±11.5 kg,BMI 24.7±3.9/22.1±3.9,年齢 71.8±8.4歳/75.2±8.3 歳と,体重が重く,BMI が高い,若年患者で臀筋性跛行が生じやすい傾向があった.また臀筋性跛行発生率は片側閉塞例14.8%(8/54 例),両側閉塞例52.9%(9/17 例)であった.内腸骨動脈瘤の合併や手技的な問題から結果的に,上臀動脈と下臀動脈との交通を温存できなかったのは片側閉塞54 例中15 肢(27.8%),両側閉塞17 例34 肢中13 肢(38.2%)で,上臀動脈-下臀動脈間交通を温存できた群では7%(4/60 肢),交通が温存できなかった群では64%(18/28 肢)に臀筋性跛行を認め,片側閉塞かつ交通温存例では5%(2/39 肢)に臀筋性跛行を認め,片側閉塞かつ交通遮断例では40%(6/15 肢),両側閉塞かつ交通温存例では10%(2/21 肢),両側閉塞かつ交通遮断例では92%(12/13 肢)に,それぞれ臀筋性跛行を認めた.またコイル塞栓からEVAR までの日数と臀筋性跛行発生率に関連なく,全例で周術期死亡や腸管虚血を認めず,臀筋性跛行は術後から1 年以内に全例で消失した.【結論】積極的な内腸骨動脈閉塞による適応拡大は安全な治療戦略であり,臀筋性跛行予防のためには,大腿深動脈からの側副血行路を維持すべく上臀動脈と下臀動脈との交通を温存することが重要と考える. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.16-00042 |