両側後脛骨動脈瘤を契機に診断された血管型Ehlers-Danlos 症候群の1 例

要旨:Ehlers-Danlos 症候群(EDS)は,稀な結合組織疾患であり,皮膚の過伸展,関節の過可動性,血管の脆弱性を特徴とする.とくに血管型EDS においては動脈破裂が最も重篤な合併症のひとつである.今回われわれは,両側後脛骨動脈瘤を契機に血管型EDS と診断した1 例を経験した.症例は27 歳,男性.兄に頸動脈瘤の既往があり,左下腿腫脹を主訴に来院した.身体所見では皮膚の透見性および過伸展を呈し,またCT 検査では最大短径10 mm の両側後脛骨動脈瘤を認め,左後脛骨動脈瘤破裂による左下腿腫脹と診断した.これらの所見より血管型EDS が疑われたことから,皮膚生検によるIII 型コラーゲ...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2015, Vol.24(7), pp.997-1000
Hauptverfasser: 猪狩, 公宏, 工藤, 敏文, 豊福, 崇浩, 井上, 芳徳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:要旨:Ehlers-Danlos 症候群(EDS)は,稀な結合組織疾患であり,皮膚の過伸展,関節の過可動性,血管の脆弱性を特徴とする.とくに血管型EDS においては動脈破裂が最も重篤な合併症のひとつである.今回われわれは,両側後脛骨動脈瘤を契機に血管型EDS と診断した1 例を経験した.症例は27 歳,男性.兄に頸動脈瘤の既往があり,左下腿腫脹を主訴に来院した.身体所見では皮膚の透見性および過伸展を呈し,またCT 検査では最大短径10 mm の両側後脛骨動脈瘤を認め,左後脛骨動脈瘤破裂による左下腿腫脹と診断した.これらの所見より血管型EDS が疑われたことから,皮膚生検によるIII 型コラーゲンの生化学検査にて血管型EDS と診断した.比較的症状が軽微であることより保存的治療を施行し奏功した.血管型EDS においては早期の診断が重要であり,かつ治療においては皮膚や結合織および血管の脆弱性を考慮した治療法を選択する必要がある.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15-00052