術中の右大脳虚血に対し右腋窩動脈への簡易的バイパス術が有効であった大動脈解離の1 例
要旨:大動脈解離における術中の再解離とそれに伴う臓器血流障害は,予測が困難なうえ,手術成績を著しく悪化させる非常に重篤な合併症である.症例は66 歳男性.早期血栓閉塞型のA 型解離に対して準緊急手術を行った.人工血管置換術が終了し,体外循環停止後に右大脳の局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧が突然低下した.腕頭動脈の再解離による右脳血流障害と判断したが,常温下であったため迅速な処置が必要であった.右腋窩動脈に吻合した送血用グラフトと人工血管側枝とをコネクターを介し簡易的に接続したところ,局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧は回復した.よって点滴用ルートをシャントチューブとして用い,血流を維持した状...
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Veröffentlicht in: | 日本血管外科学会雑誌 2014, Vol.23(1), pp.38-42 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 要旨:大動脈解離における術中の再解離とそれに伴う臓器血流障害は,予測が困難なうえ,手術成績を著しく悪化させる非常に重篤な合併症である.症例は66 歳男性.早期血栓閉塞型のA 型解離に対して準緊急手術を行った.人工血管置換術が終了し,体外循環停止後に右大脳の局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧が突然低下した.腕頭動脈の再解離による右脳血流障害と判断したが,常温下であったため迅速な処置が必要であった.右腋窩動脈に吻合した送血用グラフトと人工血管側枝とをコネクターを介し簡易的に接続したところ,局所混合血酸素飽和度と右橈骨動脈圧は回復した.よって点滴用ルートをシャントチューブとして用い,血流を維持した状態で両グラフトを速やかに吻合した.症例は術後の覚醒遅延がみられたものの,重篤な脳障害を回避することができた.脳の局所混合血酸素飽和度測定と送血用グラフトの有用性を再認識することができた1 例であった. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.13-00047 |