左側下大静脈に合併した腹部大動脈瘤の1例

要  旨:稀な左側下大静脈(IVC)に合併した腹部大動脈瘤(AAA)に対する手術を経験した.症例は88歳の女性.術前CTで左腎動脈分枝部直後から最大短径58 mmのAAAを認めた.腹部のIVCは腹部大動脈分岐部から腎動脈レベルまで大動脈の左側を上行し,そのレベルで大動脈の前面を右へ横断していた.大動脈の遮断予定部位はIVCの背面であったため,遮断困難となることが予想された.手術は腹部正中切開でアプローチし,AAAの中央左寄りから起始する小腸間膜根の上下2カ所を右側,左側から後腹膜を切開して,AAAの頸部からIVCの剥離を行ってAAAの全貌を確認した.腸管を左尾側および右頭側に授動して中枢側と末...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2012/10/25, Vol.21(6), pp.753-756
Hauptverfasser: 松浦, 良平, 阪越, 信雄, 政田, 健太, 島崎, 靖久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:要  旨:稀な左側下大静脈(IVC)に合併した腹部大動脈瘤(AAA)に対する手術を経験した.症例は88歳の女性.術前CTで左腎動脈分枝部直後から最大短径58 mmのAAAを認めた.腹部のIVCは腹部大動脈分岐部から腎動脈レベルまで大動脈の左側を上行し,そのレベルで大動脈の前面を右へ横断していた.大動脈の遮断予定部位はIVCの背面であったため,遮断困難となることが予想された.手術は腹部正中切開でアプローチし,AAAの中央左寄りから起始する小腸間膜根の上下2カ所を右側,左側から後腹膜を切開して,AAAの頸部からIVCの剥離を行ってAAAの全貌を確認した.腸管を左尾側および右頭側に授動して中枢側と末梢側の遮断部位を確保し,AAAをYグラフトの人工血管に置換した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21.753