急性大動脈解離に伴う腹腔動脈閉塞後に発生した肝虚血の1例

要  旨:症例は61歳女性.頸部痛,背部痛にて発症,造影CTで上行大動脈から両総腸骨動脈にかけてのStanford A型急性大動脈解離を認めた.また,腹腔動脈の閉塞を認めたが,上腸間膜動脈からの側副血行路により,肝臓への血流が維持されていた.同日緊急で上行大動脈置換術を施行した.術後第1病日に肝逸脱酵素が著明に上昇した.造影CTおよび血管造影にて,側副血行路の血流が減少し,肝臓への血流の著明な減少を認めた.胃切除術の既往のため,開腹術を回避すべく,血管内治療を選択し,腹腔動脈幹に14.5×5 mmのバルーン拡張型ステントを留置した.その後,肝臓への血流は著明に改善し,肝逸脱酵素も低下した.退院...

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Veröffentlicht in:日本血管外科学会雑誌 2012/10/25, Vol.21(6), pp.729-732
Hauptverfasser: 泉, 聡, 後竹, 康子, 脇山, 英丘, 大保, 英文
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:要  旨:症例は61歳女性.頸部痛,背部痛にて発症,造影CTで上行大動脈から両総腸骨動脈にかけてのStanford A型急性大動脈解離を認めた.また,腹腔動脈の閉塞を認めたが,上腸間膜動脈からの側副血行路により,肝臓への血流が維持されていた.同日緊急で上行大動脈置換術を施行した.術後第1病日に肝逸脱酵素が著明に上昇した.造影CTおよび血管造影にて,側副血行路の血流が減少し,肝臓への血流の著明な減少を認めた.胃切除術の既往のため,開腹術を回避すべく,血管内治療を選択し,腹腔動脈幹に14.5×5 mmのバルーン拡張型ステントを留置した.その後,肝臓への血流は著明に改善し,肝逸脱酵素も低下した.退院時には正常値に回復し,術後第23病日(ステント留置後22日)に軽快退院した.腹腔動脈閉塞後に側副血行路の血流減少で肝虚血を来した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21.729