分娩を取扱わない開業助産師の活動に対する思い

目的分娩を取扱わない開業助産師の活動に対する思いを明らかにすることである.方法A県およびB県で分娩を取扱わない助産所を開業する助産師10名を対象に,半構造的面接を行い,質的帰納的に内容の分析をした.本研究は,香川大学医学部倫理委員会の承認後に実施した.結果対象者の平均年齢は58.7歳.分析結果より,5カテゴリーが抽出された.分娩を取扱わない開業助産師は,【母乳ケアならできる】という気持ちで助産所の開業を決心していた.開業してみると,病院ではできなかった【じっくり関わり母親に寄り添う】や,【母親に支えられ助産師として地域で活動する】ことを実感していた.さらに,開業助産師一人で関わる不安や迷いの経...

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Veröffentlicht in:香川大学看護学雑誌 2022/03/30, Vol.26(1), pp.1-11
Hauptverfasser: 佐々塚, 恵美, 佐々木, 睦子, 石上, 悦子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的分娩を取扱わない開業助産師の活動に対する思いを明らかにすることである.方法A県およびB県で分娩を取扱わない助産所を開業する助産師10名を対象に,半構造的面接を行い,質的帰納的に内容の分析をした.本研究は,香川大学医学部倫理委員会の承認後に実施した.結果対象者の平均年齢は58.7歳.分析結果より,5カテゴリーが抽出された.分娩を取扱わない開業助産師は,【母乳ケアならできる】という気持ちで助産所の開業を決心していた.開業してみると,病院ではできなかった【じっくり関わり母親に寄り添う】や,【母親に支えられ助産師として地域で活動する】ことを実感していた.さらに,開業助産師一人で関わる不安や迷いの経験から,地域で【多職種との連携で安心する】ことを痛感していた.そして,今後も【今の生活ペースで続ける】ことを望んでいた.考察分娩を取扱わない開業助産師は,母親や地域住民の支えで活動できると実感していた.また,地域での活動は,その効果を身近に感じることでやりがいとなり,助産所の質の向上を目指していた.さらに,病院ではできなかった母乳育児確立への継続支援と,産後ケア事業への取り組みは,開業助産師が地域で担う役割になる.そして,開業助産師が実施する健康支援は,母子への切れ目ない支援や女性の生涯にわたる健康支援に寄与できると考える.結論分娩を取扱わない開業助産師は,病院ではできなかった,母親にじっくり寄り添うことや,地域住民に支えられて活動ができていると実感していた.また,一人で関わる不安や迷いの経験から,母親のみならず地域の多職種のおかげで活動ができると痛感していた.さらに,開業助産師が,あらゆる世代の女性を対象とした助産所作りをめざして活動することは,母子への切れ目ない支援における一翼を担い,助産師が地域で担う役割になる可能性が示唆された.
ISSN:1349-8673
2189-2970
DOI:10.34390/njku.26.1_1