東日本大震災における災害医療支援者の心理状況
「抄録」目的 : 大規模災害時, 支援者はストレスにさらされ心身に影響を受けることが知られている. 本研究は, 東日本大震災に際して, ある民間支援団体から派遣された医療者が抱くストレスを含めた心理状況を探求することを目的とした. 方法 : 延べ1,000人以上の支援者, 主に医療者を派遣した一民間支援団体に所属した6人の医療者に半構造的面接を行い, 得られたデータはマトリックス法を用いて質的内容分析を行った. 結果 : 対象者は, 炊き出しや支援物資管理等, 自らの職域外の多岐にわたる活動を行っていた. 支援前は【被災地の助けになりたい】と考え, 行動に移すまでに, それぞれの『被災地支援を...
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Veröffentlicht in: | 聖路加看護学会誌 2015-01, Vol.18 (2), p.14-22 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」目的 : 大規模災害時, 支援者はストレスにさらされ心身に影響を受けることが知られている. 本研究は, 東日本大震災に際して, ある民間支援団体から派遣された医療者が抱くストレスを含めた心理状況を探求することを目的とした. 方法 : 延べ1,000人以上の支援者, 主に医療者を派遣した一民間支援団体に所属した6人の医療者に半構造的面接を行い, 得られたデータはマトリックス法を用いて質的内容分析を行った. 結果 : 対象者は, 炊き出しや支援物資管理等, 自らの職域外の多岐にわたる活動を行っていた. 支援前は【被災地の助けになりたい】と考え, 行動に移すまでに, それぞれの『被災地支援を決めた思い』をもち『支援前の準備』を行っていた. 支援期間中『自分のニーズと環境のギャップ』『思い描いていた支援と現実のギャップ』『受益者のニーズとのギャップ』という【理想と現実のギャップ】を感じながらも, 支援者は自発的にニーズを掘り出し, 活動を行っていた. 支援後に『帰ることへの罪悪感』『疲労感と脱力感』といった【引き続く思い】を感じつつも『被災地支援からの学び』があったことを明らかにした. 考察 : 支援者らは物資面等での準備は行っていたが, 心の準備については十分でなかった. 加えて, 休息や食事などの支援者自らのニーズを後回しとしたことは, 疲労した状態で受益者の経験を聞き続けることによる代理受傷や, 支援に対する否定的な感情を含めた燃え尽きに至る要因になっているのではないかと考察された. 反面, 活動からの学びというポジティブな側面も含まれ, 心的外傷体験後成長の一助につながっているようである. 心理的な疲労を軽減するには, 自らの支援活動に際し, 評価しやすい基準を用いることに加え, 活動を肯定的にとらえられるよう柔軟に現実に沿ったゴールを設定し, かつ継続的に修正し, 後方支援との連携を図りながらエビデンスに基づいた支援方法を選択する重要性が見いだされた. |
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ISSN: | 1344-1922 |