急性期高齢患者のせん妄発生の予測に関する看護師のアセスメント構造

「抄録」本研究は急性期ケアに携わっている看護師が, 高齢患者のせん妄をどのようにアセスメントしているのか, せん妄発生の予測に関する看護師のアセスメント構造を提示することを目的とした. 急性期治療を行っている総合病院8施設の病棟看護師28名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを行った. 5グループに分けて実施したインタビュー内容は逐語録を作成し質的に分析した. 分析の結果, 1) 急性期にある高齢患者, 2) 入院・治療に伴う内的・外的環境変化の体験, 3) せん妄につながる体験の知覚 / 反応の3つの主題となる枠組みと12のカテゴリーが見出され, せん妄の発生予測に関する看護師のアセス...

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Veröffentlicht in:聖路加看護学会誌 2006-06, Vol.10 (1), p.1-10
Hauptverfasser: 長谷川真澄, 亀井智子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」本研究は急性期ケアに携わっている看護師が, 高齢患者のせん妄をどのようにアセスメントしているのか, せん妄発生の予測に関する看護師のアセスメント構造を提示することを目的とした. 急性期治療を行っている総合病院8施設の病棟看護師28名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを行った. 5グループに分けて実施したインタビュー内容は逐語録を作成し質的に分析した. 分析の結果, 1) 急性期にある高齢患者, 2) 入院・治療に伴う内的・外的環境変化の体験, 3) せん妄につながる体験の知覚 / 反応の3つの主題となる枠組みと12のカテゴリーが見出され, せん妄の発生予測に関する看護師のアセスメント構造が示された. 1) 急性期にある高齢患者には, (1) 患者特性, (2) 緊急入院・初回入院, (3) せん妄になりやすい疾患・病態, (4) 治療の4カテゴリーが含まれた. 2) 入院・治療に伴う内的・外的環境変化の体験には, (5) 生活の場の変化, (6) 疾患・治療に伴う苦痛・制限, (7) 生活パターンの崩れの3カテゴリーが含まれた. 3) せん妄につながる体験の知覚 / 反応には, (8) 不適切な感覚刺激, (9) 強い拘束感, (10) 不安の増大, (11) 時間 / 環境認知のずれ, (12) コミュニケーション能力 / 適応力の低下・限界の5カテゴリーが含まれた. アセスメント構造において, 急性期にある高齢患者は, 入院・治療に伴いさまざまな内的・外的環境変化を体験しており, これらの体験について高齢者が, 「せん妄につながる体験の知覚 / 反応」を示している場合にせん妄を発生しやすいと予測される. 本研究結果から, 「せん妄につながる体験の知覚 / 反応」という新たなアセスメントの視点が示唆され, 高齢患者がせん妄を発症するか否かを見定める鍵になるのではないかと考えた. 今後は, 本研究で提示されたせん妄の発生予測に関するアセスメント構造について, 実際の高齢患者で検証し, せん妄発生を予測するためのリスクアセスメントツールの開発へとつなげていきたい.
ISSN:1344-1922