上部消化管の再建術を受けたがん患者が術後回復期に体験するストレス・コーピングの分析 - 食べることに焦点をあてて
「要旨」上部消化管の再建術を受けたがん患者が術後回復期に, 食べることに関連してどのようなストレスを体験し, それらに対してどのように対処しているのかについて, 影響する要因とともに明らかにし, 援助への示唆を得ることを本研究の目的とした. Gelein & Bourbousのストレス・コーピング・適応モデルを基に概念枠組みを作成し, 上部消化管の再建術を受けたがん患者15名を対象に, 面接と参加観察を行った. 得られたデータから, ストレス及びそれらに対するコーピングを表していると思われる内容を抽出, 分類し, 名称をつけた. 更に影響要因の分析を行った. その結果, 食べることに関...
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Veröffentlicht in: | 聖路加看護学会誌 1999-06, Vol.3 (1), p.62-70 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」上部消化管の再建術を受けたがん患者が術後回復期に, 食べることに関連してどのようなストレスを体験し, それらに対してどのように対処しているのかについて, 影響する要因とともに明らかにし, 援助への示唆を得ることを本研究の目的とした. Gelein & Bourbousのストレス・コーピング・適応モデルを基に概念枠組みを作成し, 上部消化管の再建術を受けたがん患者15名を対象に, 面接と参加観察を行った. 得られたデータから, ストレス及びそれらに対するコーピングを表していると思われる内容を抽出, 分類し, 名称をつけた. 更に影響要因の分析を行った. その結果, 食べることに関連して体験していたストレスとして, 身体的側面では【食べることに伴う不快な感覚や苦痛】【消化管の機能の乱れに伴う不快感や苦痛】の2つ, 心理的側面では【内臓感覚の変化による戸惑い】【再建された消化管に起きている変化の不確かさ】【食事摂取に伴う辛さ, 心配, 恐怖感】【新しい食べ方を身につけていくことの困難さ】【自分らしさが保てないことへの危惧】【回復状況についての気掛かり】【退院後の生活に対する自信のなさ】の7つのカテゴリーが抽出された. コーピングは《身体的苦痛を緩和する取り組み》《不確かな現象を捉えようとする取り組み》《原因を探る》《受け入れ》《回避》《ルールを作る》《ルールを作らない》《確証の求め》の, 8種類のコーピング様式が見出され, その具体的方法に時間の経過に伴う変化の様相が認められたものがあった. ストレス・コーピングに影響する要因としては, 癌の受けとめ, 役割の自認, 消化器合併症の存在が見出された. 上部消化管が再建されたことによる内臓感覚の変化は, それ自体が奇異な感覚であると同時に, 食べる上での感覚的な目安が失われることでもあり, 対象は自分で決まりや目安を作るなど, ルールを作るという対処を行っていた. よって, がん患者が内臓感覚と食べ方との関係性を見出し, 自分の体に適した食行動へと結びつけていけるよう援助していくことの重要性が示唆された. |
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ISSN: | 1344-1922 |