老人保健施設入所者の身体的, および精神的状態の変化に関する研究
「要旨」本研究の目的は, 老人保健施設入所者の身体的, 精神的状態の変化と, 変化に関連する要因を明らかにし, 今後の老人保健施設のサービスについて考えることである. 対象は東京都にある, 2か所の老人保健施設入所者29人であった. 調査は, 入所時と2か月後の2時点で, 身体的状態と, 精神的状態に関する測定尺度を用いた質問と, 半構成的な質問を行い, 以下の結果が得られた. 1. Barthel indexによるADLの改善は統計的に認められなかった. しかし, 半構成的な質問においては, 実感的なレベルのADLの低下を訴えたものは7%弱にとどまったのに対し, 以前より歩けるようになったな...
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Veröffentlicht in: | 聖路加看護学会誌 1999-06, Vol.3 (1), p.54-61 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」本研究の目的は, 老人保健施設入所者の身体的, 精神的状態の変化と, 変化に関連する要因を明らかにし, 今後の老人保健施設のサービスについて考えることである. 対象は東京都にある, 2か所の老人保健施設入所者29人であった. 調査は, 入所時と2か月後の2時点で, 身体的状態と, 精神的状態に関する測定尺度を用いた質問と, 半構成的な質問を行い, 以下の結果が得られた. 1. Barthel indexによるADLの改善は統計的に認められなかった. しかし, 半構成的な質問においては, 実感的なレベルのADLの低下を訴えたものは7%弱にとどまったのに対し, 以前より歩けるようになったなどの実感レベルのADLの改善がみられた者が約3割強と, 大きな差が見られた. 2. 主観的健康度は, 2か月後に統計的に有意に改善し, 半構成的な質問においても, 半数以上のものが, 体調の維持増進について, 肯定的に表現していたのに対し, 否定的な表現はまったく見られなかった. 3. 精神的状態の指標として用いた, 生活満足度と, 自記式抑うつ度(Self-rating Depression Scale ; 以下SDS得点と省す)には, 入所時と2か月後の間に, 統計的に有意な差はなかった. また, 半構成的な質問においても, 精神的側面を肯定的に表現していたものと, 否定的に表現していたものとの訴え率は, 約7割とほぼ同じであった. 4. 入所時から2か月後の, SDS得点の変化と有意な関連が認められたのは, 主観的健康度の変化(r=-0.38, p |
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ISSN: | 1344-1922 |