ビタミンK欠乏による凝固障害を合併したイレウス患者に硬膜外麻酔併用全身麻酔で手術を実施した1例

「要旨」症例は60歳男性. S状結腸癌にて化学療法中に腹部膨満感, 腹痛を主訴に救急外来を受診した. 腸閉塞の診断で保存的治療が開始されたが改善せず, 手術の方針となったが, 術前日の検査でPT-INR 3.84, APTT 62.1 secと凝固障害を認めた. 水様性下痢, 絶食, SBT/CPZの投与からビタミンK欠乏による凝固障害と診断し, 新鮮凍結血漿4単位とビタミンK2製剤(メナテトレノン) 20 mgを投与した. 術当日PT-INR 1.19, APTT 32.1 secと凝固障害の改善を認め, 硬膜外麻酔併用全身麻酔で腹腔鏡補助下人工肛門造設術を施行した. 術後に凝固障害はなく,...

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Veröffentlicht in:松江市立病院医学雑誌 2018-12, Vol.22 (1), p.78-80
Hauptverfasser: 足立雄基, 山崎和雅, 豊島浩之, 小糠あや, 小山茂美, 安部睦美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」症例は60歳男性. S状結腸癌にて化学療法中に腹部膨満感, 腹痛を主訴に救急外来を受診した. 腸閉塞の診断で保存的治療が開始されたが改善せず, 手術の方針となったが, 術前日の検査でPT-INR 3.84, APTT 62.1 secと凝固障害を認めた. 水様性下痢, 絶食, SBT/CPZの投与からビタミンK欠乏による凝固障害と診断し, 新鮮凍結血漿4単位とビタミンK2製剤(メナテトレノン) 20 mgを投与した. 術当日PT-INR 1.19, APTT 32.1 secと凝固障害の改善を認め, 硬膜外麻酔併用全身麻酔で腹腔鏡補助下人工肛門造設術を施行した. 術後に凝固障害はなく, 問題なく経過した. ビタミンK欠乏による凝固障害は速やかに改善させることが可能であり, 長期の絶食・抗菌薬投与中の症例に凝固障害が認められた場合は, 早期の診断と治療が重要である.
ISSN:1343-0866