虫垂炎発症にて判明したMeckel 憩室内翻による腸重積の1 例

症例は33 歳男性.半年前より間欠的に食後の腹部膨満感,上腹部不快感を自覚し内服加療を受けていた.入院当日,昼食後より心窩部痛,嘔吐が出現.夕方より右下腹部痛の増強,発熱を認め,当院救急外来の受診となった.右下腹部の強い圧痛と反跳痛を認め,CT にて急性虫垂炎による限局性腹膜炎と診断した.このCT 画像検査において左下腹部の回腸にtarget sign を示す小腸の重積所見を認め,腸管拡張所見など通過障害は認めないものの,細長い腫瘍を先進部とする回腸腸重積の併存を疑った.緊急手術として全麻下に下腹部正中切開にて開腹した.まず,蜂窩織炎性急性虫垂炎を確認し,虫垂切除術を施行.左下腹部には回盲部よ...

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Veröffentlicht in:松江市立病院医学雑誌 2015, Vol.19(1), pp.63-68
Hauptverfasser: 倉吉, 和夫, 山田, 敬教, 大谷, 裕, 梶谷, 真司, 河野, 菊弘, 吉岡, 宏, 金山, 博友, 吉田, 学
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は33 歳男性.半年前より間欠的に食後の腹部膨満感,上腹部不快感を自覚し内服加療を受けていた.入院当日,昼食後より心窩部痛,嘔吐が出現.夕方より右下腹部痛の増強,発熱を認め,当院救急外来の受診となった.右下腹部の強い圧痛と反跳痛を認め,CT にて急性虫垂炎による限局性腹膜炎と診断した.このCT 画像検査において左下腹部の回腸にtarget sign を示す小腸の重積所見を認め,腸管拡張所見など通過障害は認めないものの,細長い腫瘍を先進部とする回腸腸重積の併存を疑った.緊急手術として全麻下に下腹部正中切開にて開腹した.まず,蜂窩織炎性急性虫垂炎を確認し,虫垂切除術を施行.左下腹部には回盲部より約60 cm 口側の回腸に順行性腸重積を認め,腸間膜対側の漿膜から内翻した巨大ソーセージ様腫瘍性病変が漿膜を牽引しているのが観察された.内翻の整復は不能にて,この部位の回腸部分切除術を施行した.切除標本で腸間膜対側回腸に内腔に突出する暗赤色の60×22×20 mm の隆起性病変を認め,先端部に肉芽腫様の所見が認められた.病理所見で,内翻した真性憩室と診断され粘膜上皮の一部に壁細胞を有する異所性の胃型粘膜が確認され,Meckel 憩室の内翻と診断された.術後経過は良好にて退院.退院後,以前に認めていた食後の腹部膨満感や下腹部痛などの症状は消失していた.虫垂炎発症にて判明したメッケル憩室の内翻による稀な腸重積の1 例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1343-0866
2434-8368
DOI:10.32294/mch.19.1_63