超音波検査が有用であった下咽頭梨状窩瘻による急性化膿性甲状腺炎の1 治験例

症例は68 歳男性.左前頚部痛,嚥下痛で耳鼻科受診.耳鼻科医は甲状腺が原因ではないかと考え,当科に紹介.受診時,急性炎症所見はなく,経過観察となった.症状の改善が無く,再度当科紹介.視診では前頚部腫大はないものの,甲状腺左葉上極に圧痛あり.超音波検査では触診の圧痛域に低エコー領域を認めた.造影CT を施行したところ,甲状軟骨左下部に炎症による破壊域を認めた.咽頭食道造影で左梨状窩瘻の陰影を認めた.自覚症状改善後,再度超音波検査を施行し,径1 mm の索状エコーを確認しえたので手術を施行した.手術は前頚部小切開で行った.甲状腺左葉の上極を検索し瘻孔らしき部位を結紮切離,甲状腺左葉を脱転し裏面の炎...

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Veröffentlicht in:松江市立病院医学雑誌 2013, Vol.17(1), pp.59-62
Hauptverfasser: 野津, 長, 芦田, 泰之, 松井, 泰樹, 榎本, 卓朗, 多田, 裕子, 吉田, 学
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は68 歳男性.左前頚部痛,嚥下痛で耳鼻科受診.耳鼻科医は甲状腺が原因ではないかと考え,当科に紹介.受診時,急性炎症所見はなく,経過観察となった.症状の改善が無く,再度当科紹介.視診では前頚部腫大はないものの,甲状腺左葉上極に圧痛あり.超音波検査では触診の圧痛域に低エコー領域を認めた.造影CT を施行したところ,甲状軟骨左下部に炎症による破壊域を認めた.咽頭食道造影で左梨状窩瘻の陰影を認めた.自覚症状改善後,再度超音波検査を施行し,径1 mm の索状エコーを確認しえたので手術を施行した.手術は前頚部小切開で行った.甲状腺左葉の上極を検索し瘻孔らしき部位を結紮切離,甲状腺左葉を脱転し裏面の炎症部位を確認後切除した.病理では炎症細胞の浸潤と管腔組織は存在を認めたが,管腔上皮の確認までには至らなかった.術後咽頭食道造影では梨状窩瘻は消失しており治癒とした.超音波検査は炎症沈静後の梨状窩瘻確認に有用であると考える.
ISSN:1343-0866
2434-8368
DOI:10.32294/mch.17.1_59