夜間装具を用いた特発性側彎症の治療成績

はじめに:夜間装具を用いて治療を行った,思春期特発性側弯症の治療成績を報告する.対象と方法:30度以下の女子の思春期特発性側弯症37例に対し,瀬本・永野式夜間装具を用いて治療を行い,装具脱後2年以上経過した症例の治療成績を検討した.装具治療前の年齢は平均13歳4ヶ月,装具装着期間は平均2年4ヶ月,全治療期間は平均4年11ヶ月であった.装具脱後の経過年数は平均2年8ヶ月であった.装具治療開始時のRisser signが0から2の群(以下Risser0~2群)と,Risser sign 3の群(以下Risser3群)およびRisser sign 4の群(以下Risser4群)について装具による弯曲...

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Veröffentlicht in:Journal of Spine Research 2024/11/20, Vol.15(11), pp.1298-1305
Hauptverfasser: 瀬本, 喜啓, 藤原, 憲太, 下, 裕司, 永野, 徹, 永野, 宏佳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:夜間装具を用いて治療を行った,思春期特発性側弯症の治療成績を報告する.対象と方法:30度以下の女子の思春期特発性側弯症37例に対し,瀬本・永野式夜間装具を用いて治療を行い,装具脱後2年以上経過した症例の治療成績を検討した.装具治療前の年齢は平均13歳4ヶ月,装具装着期間は平均2年4ヶ月,全治療期間は平均4年11ヶ月であった.装具脱後の経過年数は平均2年8ヶ月であった.装具治療開始時のRisser signが0から2の群(以下Risser0~2群)と,Risser sign 3の群(以下Risser3群)およびRisser sign 4の群(以下Risser4群)について装具による弯曲の変化を調査した.Risser0~2群の治療前Cobb角は平均20.4度,Risser3群は平均19.6度,Risser4群は平均20.1度であった.結果:Cobb角が5度以上減少したものを改善,5度以内の増減を進行,5度以上増加したものを進行とすると,Risser0~1群(16例)は,改善11例,進行が3例,悪化2例であった.Risser3群(9例)は改善4例,進行3例,悪化2例,またRisser4群(12例)は改善2例,進行7例,悪化3例であった.考察:今回の調査結果では,Risser0~2群の症例で16例中14例(87.5%)は進行を予防できた.さらに10度以上改善した例が4例(25%)あった.またこの群の20度以下の症例は8例で,そのうち2例は進行,6例は5度以上の改善が認められた.これは,装具では進行予防しかできないという今までの知見をくつがえし,早期に治療を開始することにより弯曲の改善が可能であるということを示唆する.Risser4群でも5度以上悪化する例も3例認められた.Risser signのみで装具の離脱の時期を判断することは適切ではないと考える.結語:1.瀬本・永野式夜間装具による側弯症治療例の治療成績を報告した.2.夜間装具は進行予防のみならず弯曲の改善も期待できる.3.20度未満の思春期特発性側弯症は,進行するのを待って装具治療を開始するのではなく,直ちに装具装着を開始すべきである.4.装具の離脱をRisser signのみで判断することは適切ではない.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-1109