10代未成年者と高齢者の外傷性頚髄損傷の病態生理についての比較検討

はじめに:10代未年者と65歳以上高齢者の骨傷を伴う外傷性頚髄損傷の病態生理について比較検討した.対象と方法:2009年から2018年の10年間で,受傷後72時間以内の初期診断と受傷後24ヶ月以上の経過観察が可能であった骨傷を伴う頚髄損傷患者の10代未年者18名と65歳以上高齢者26名を対象とした.American Spinal Injury Association(ASIA)impairment scale(AIS),ASIA motor score(AMS),改良Frankel分類(Fr)を用いて受傷後の神経学的およびADLの経時的評価を行った.結果:初診時の平均AMS(上肢/下肢/tot...

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Veröffentlicht in:Journal of Spine Research 2022/12/20, Vol.13(12), pp.1271-1276
Hauptverfasser: 山口, 雄大, 森下, 雄一郎, 河野, 修, 中島, 康晴, 前田, 健
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:はじめに:10代未年者と65歳以上高齢者の骨傷を伴う外傷性頚髄損傷の病態生理について比較検討した.対象と方法:2009年から2018年の10年間で,受傷後72時間以内の初期診断と受傷後24ヶ月以上の経過観察が可能であった骨傷を伴う頚髄損傷患者の10代未年者18名と65歳以上高齢者26名を対象とした.American Spinal Injury Association(ASIA)impairment scale(AIS),ASIA motor score(AMS),改良Frankel分類(Fr)を用いて受傷後の神経学的およびADLの経時的評価を行った.結果:初診時の平均AMS(上肢/下肢/total)は,若年群15.33±10.25/5.61±13.52/20.94±21.03,高齢群31.92±17.59/21.73±23.9/53.65±38.62と,若年群が重篤な四肢麻痺を呈していた.最終時AMSは,若年群28.94±15.48/21.11±24.59/50.06±38.9,高齢群35.85±16.97/26.69±24.38/62.54±38.83と上下肢ともに高齢群が高値であったが,初診時から最終評価時のAMS improvement ratio(%)で比較すると,若年群44.15±41.55,高齢群28.56±40.01と若年群の神経学的回復が有意に良好であった.また,不全麻痺(AIS B以上)症例では,若年群の7/7例(100%)と高齢群の12/18例(66.67%)が最終観察時に歩行能力獲得(Fr D2以上)していた.結語:未成年者のAMS improvement ratioは高齢者より有意に高く,未成年者の損傷脊髄は,高齢者と比較すると潜在的損傷回復能力が高いことが示唆された.また,初診時に不全麻痺であれば,未成年者は自立歩行での社会復帰をゴールに設定することができると思われた.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2022-1211