胸椎腰椎損傷の注意すべき合併損傷―伸展損傷は高リスク

はじめに:外傷に伴う胸椎腰椎損傷では伸展損傷は稀であり,多くは血管損傷を伴わないが,びまん性特発性骨増殖症(DISH)では伸展損傷からの血管・食道・尿管損傷といった重篤な合併症が報告されている.胸椎腰椎損傷に重篤な合併症を呈する骨折関連リスク因子について検討した.対象と方法:手術加療を行った176症例210椎のAO-A3,4,B,Cの胸椎腰椎損傷を対象とした.骨折脊椎周囲組織の脈管や臓器の損傷をsevere complicationと定義し,severe complicationを認めた群をS群,認めなかった群をN群として,2群比較を行った.結果:S群14例14椎,N群162例196椎で,分節...

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Veröffentlicht in:Journal of Spine Research 2022/05/20, Vol.13(5), pp.784-790
Hauptverfasser: 奥田, 哲教, 岩田, 栄一朗, 重松, 英樹, 前川, 尚宜, 中野, 健一, 増田, 佳亮, 小西, 浩允, 岡田, 博, 川崎, 佐智子, 福島, 英賢, 田中, 康仁
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:外傷に伴う胸椎腰椎損傷では伸展損傷は稀であり,多くは血管損傷を伴わないが,びまん性特発性骨増殖症(DISH)では伸展損傷からの血管・食道・尿管損傷といった重篤な合併症が報告されている.胸椎腰椎損傷に重篤な合併症を呈する骨折関連リスク因子について検討した.対象と方法:手術加療を行った176症例210椎のAO-A3,4,B,Cの胸椎腰椎損傷を対象とした.骨折脊椎周囲組織の脈管や臓器の損傷をsevere complicationと定義し,severe complicationを認めた群をS群,認めなかった群をN群として,2群比較を行った.結果:S群14例14椎,N群162例196椎で,分節動脈損傷・胸管損傷・食道損傷・尿管損傷・横隔膜ヘルニア・大動脈プラークのshowering embolisationがsevere complicationであった.S群で有意に高齢,AO分類でBタイプが多く,伸展損傷,DISHが多かった.これらに対して多変量解析を行い,伸展損傷がsevere complicationのリスク因子であった.またS群で術後1ヶ月以内の死亡も有意に多かった.結語:胸椎腰椎損傷の伸展損傷はsevere complicationの合併リスクが高く注意を払うべきである.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-0070