介護老人保健施設入所者の誤嚥性肺炎の包括的ケアを促す看護モデルの開発

本研究の目的は, 介護老人保健施設(以下, 老健)入所者の誤嚥性肺炎(以下, 肺炎)の包括的ケアを促す看護モデルを開発することである. 予防医学の3段階と文献検討から導いた看護モデルの枠組みに, 老健4施設の看護師8名のインタビューから得られた卓越した肺炎ケアの実践を統合し, 文献による補完を経て看護モデル試案を作成した. 老健の看護師は他職種と連携して収集した情報を活用して, 入所者の状態をその後の変化も見通した上でアセスメントし, 必要とされるケアを判断・実践していた. このことから, 看護モデルでは入所者の状態・状況に応じてケアの目的と看護師が行う方策を設定し, さらに看護師の方策と連動...

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Veröffentlicht in:千葉看護学会会誌 2023-02, Vol.28 (2), p.71-80
Hauptverfasser: 小熊亜希子, 岡田忍, 飯野理恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は, 介護老人保健施設(以下, 老健)入所者の誤嚥性肺炎(以下, 肺炎)の包括的ケアを促す看護モデルを開発することである. 予防医学の3段階と文献検討から導いた看護モデルの枠組みに, 老健4施設の看護師8名のインタビューから得られた卓越した肺炎ケアの実践を統合し, 文献による補完を経て看護モデル試案を作成した. 老健の看護師は他職種と連携して収集した情報を活用して, 入所者の状態をその後の変化も見通した上でアセスメントし, 必要とされるケアを判断・実践していた. このことから, 看護モデルでは入所者の状態・状況に応じてケアの目的と看護師が行う方策を設定し, さらに看護師の方策と連動して他職種や入所者・家族が行う方策を定めた. 次に, 専門家会議にて看護モデル試案の内容, 構成概念妥当性を確認し, 指摘に沿って修正した. 看護モデルは全入所者の肺炎リスクの把握と入所者の状態・状況に応じた14個のケアの目的, 入所者の状態・状況に関係なく実施するケアの目的3個, それぞれの目的を達成するために看護師, 他職種, 入所者・家族が実施する60個の方策で構成された. 本看護モデルは老健の看護師が全入所者の状態・状況を的確にアセスメントし, それに応じた肺炎ケアの実践を可能とすることで, 老健入所者における誤嚥や誤嚥性肺炎の予防に有用であると考えられた. 今後は看護モデルを使用し, その効果を明らかにする必要がある.
ISSN:1344-8846