自己免疫疾患発症初期の看護上の問題に関する研究 - 科学的看護論を理論的前提とする分析方法

本研究の目的は, 自己免疫疾患発症初期の生活過程における調和の乱れに注目し, 看護上の問題を明らかにし, 発症初期の自己免疫疾患患者の看護についての示唆を得ることである. 対象は外来患者で, 研究参加の同意が得られた4名であった. 本研究は科学的看護論を理論的前提とし, 外来受診に合わせて半構成的面接を行い, その逐語録および患者情報を記したフィールドノートをデータ源とした. 分析の結果, 自己免疫疾患発症初期の患者に看護上の問題が生じる生活過程の共通性を抽出した. 「生活過程で発生した不調を自分なりの対処でおさめる過程がある」「薬物調節で症状が改善すると, 自己免疫反応のひきがねと思われる生...

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Veröffentlicht in:千葉看護学会会誌 2012-12, Vol.18 (2), p.17-25
Hauptverfasser: 郡紅菜, 中村愛, 椿祥子, 斉藤しのぶ, 山本利江
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は, 自己免疫疾患発症初期の生活過程における調和の乱れに注目し, 看護上の問題を明らかにし, 発症初期の自己免疫疾患患者の看護についての示唆を得ることである. 対象は外来患者で, 研究参加の同意が得られた4名であった. 本研究は科学的看護論を理論的前提とし, 外来受診に合わせて半構成的面接を行い, その逐語録および患者情報を記したフィールドノートをデータ源とした. 分析の結果, 自己免疫疾患発症初期の患者に看護上の問題が生じる生活過程の共通性を抽出した. 「生活過程で発生した不調を自分なりの対処でおさめる過程がある」「薬物調節で症状が改善すると, 自己免疫反応のひきがねと思われる生活行動を再開し, 元の生活に戻る」「確定診断直後の初期には症状が軽く, 役割期待に応えることを優先する」「社会生活上の人間関係や経済的事情を優先して行動し, 生活リズムを崩し, 体調が悪化する」「病歴の長短にかかわらず, 生活調整の体系的なイメージが描かれていない. また, そのような生活調整の指導を受けた記憶がなく, 医師の助言を一面的に理解し, 生活調整に反することがある」考察をとおして, 看護上の問題に共通する要素と, 看護上の問題が生じる仕組みの解明が必要であることと, 今ここでの問題に看護者が着目したとき, これまでの療養生活の歴史や将来を視野に入れつつ, 起こっている問題を観察し, それに関係する事象の情報を収集し, 自力で調和の乱れをととのえられるかという観点をもてば, 看護上の問題の構造をアセスメントできることが示唆された.
ISSN:1344-8846