甲状腺びまん性大細胞型B細胞リンパ腫による高度気道狭窄に対してステロイド投与が著効した1例

症例は60歳代,女性。橋本病と甲状腺腫瘍の既往があり,近医にて経過観察されていた。 電車に乗車中,突然の呼吸困難をきたし,当院へ救急搬送された。26回/分と頻呼吸を認め, 前頸部に巨大な腫瘤を触知し,頸部聴診で上気道狭窄音を聴取した。頸部CTで甲状腺由来と思われる90 mm大の腫瘤によって,気管は圧排され直径7 mmまで狭窄をきたしていた。 頸部超音波検査所見より,悪性リンパ腫を疑われ,プレドニゾロン500 mg/day投与を開始したところ,翌日には呼吸困難は改善した。第4病日のCTで腫瘤は50 mm大まで著明に縮小し,その後の細胞診にて甲状腺びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。R-C...

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Veröffentlicht in:日本病院総合診療医学会雑誌 2023/03/31, Vol.19(2), pp.105-109
Hauptverfasser: 生田, 理紗, 古川, 一隆, 林, 邦雄, 松塚, 文夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は60歳代,女性。橋本病と甲状腺腫瘍の既往があり,近医にて経過観察されていた。 電車に乗車中,突然の呼吸困難をきたし,当院へ救急搬送された。26回/分と頻呼吸を認め, 前頸部に巨大な腫瘤を触知し,頸部聴診で上気道狭窄音を聴取した。頸部CTで甲状腺由来と思われる90 mm大の腫瘤によって,気管は圧排され直径7 mmまで狭窄をきたしていた。 頸部超音波検査所見より,悪性リンパ腫を疑われ,プレドニゾロン500 mg/day投与を開始したところ,翌日には呼吸困難は改善した。第4病日のCTで腫瘤は50 mm大まで著明に縮小し,その後の細胞診にて甲状腺びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。R-CHOPを6コース施行したところ,頸部腫瘤はほぼ消失し,現在5年経過も寛解を維持している。甲状腺悪性リンパ腫は急速な頸部腫脹で発症することがあるが,自験例では超音波検査が早期診断に寄与し,ステロイド投与が呼吸困難の改善に有効であった症例であり,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.19.2_105