完全菜食主義による重度の巨赤芽球性貧血に対し, 無輸血で多職種介入した 1 例

症例は 60 歳女性。体動困難を主訴に救急搬送された。神経学的所見として深部感覚鈍麻や病的反射を認め,血液検査でHb 2. 5 g/dL,MCV 132.1 fl と重度の大球性貧血を認めた。精査と病歴聴取の結果,約 30 年来の完全菜食主義に起因するビタミン B12 欠乏により生じた重度の巨赤芽球性貧血に,亜急性連合性脊髄変性症を併発した状態と考えられた。重度の貧血を認めたが輸血療法は拒否されたため,ビタミンB12の補充療法を開始した。神経学的所見は一部の所見を除き改善した。第 15 病日の血液検査でHb 5.1 g/dL,MCV 114.9flまで改善したため退院となった。ビタミンB12欠...

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Veröffentlicht in:日本病院総合診療医学会雑誌 2022/05/31, Vol.18(3), pp.171-176
Hauptverfasser: 加藤, 真優, 川名, 秀俊, 齋藤, 博文
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は 60 歳女性。体動困難を主訴に救急搬送された。神経学的所見として深部感覚鈍麻や病的反射を認め,血液検査でHb 2. 5 g/dL,MCV 132.1 fl と重度の大球性貧血を認めた。精査と病歴聴取の結果,約 30 年来の完全菜食主義に起因するビタミン B12 欠乏により生じた重度の巨赤芽球性貧血に,亜急性連合性脊髄変性症を併発した状態と考えられた。重度の貧血を認めたが輸血療法は拒否されたため,ビタミンB12の補充療法を開始した。神経学的所見は一部の所見を除き改善した。第 15 病日の血液検査でHb 5.1 g/dL,MCV 114.9flまで改善したため退院となった。ビタミンB12欠乏による不可逆的な障害を回避するためには早期の診断と治療介入が重要であり,患者の嗜好・信念にも配慮した観点から多職種で介入することが患者のアドヒアランス向上に繋がると考えられる。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.18.3_171