院内発症のMycobacterium marinumによる咽頭喉頭炎および皮膚潰瘍の 1 例

Mycobacterium marinum(M.marinum)は,swimming pool granulomaやfish tank granulomaよばれる肉芽腫性の皮膚感染症をおこす非結核性抗酸菌で1)2),まれな病原体であるため,診断が遅延することがある。今回著者らは,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスの既往があり,入院中に発症した皮膚潰瘍に引き続いて披裂部潰瘍を呈した 66 歳男性症例を経験したので報告する。症例は療養病棟入院中に難治性の皮膚潰瘍に引き続き,咽頭から披裂部に潰瘍および小隆起を形成した。披裂部潰瘍からの生検組織で抗酸菌と乾酪壊死が証明され,細菌学的検査で M.mar...

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Veröffentlicht in:日本病院総合診療医学会雑誌 2021/03/31, Vol.17(2), pp.199-203
1. Verfasser: 千布, 裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Mycobacterium marinum(M.marinum)は,swimming pool granulomaやfish tank granulomaよばれる肉芽腫性の皮膚感染症をおこす非結核性抗酸菌で1)2),まれな病原体であるため,診断が遅延することがある。今回著者らは,関節リウマチ,全身性エリテマトーデスの既往があり,入院中に発症した皮膚潰瘍に引き続いて披裂部潰瘍を呈した 66 歳男性症例を経験したので報告する。症例は療養病棟入院中に難治性の皮膚潰瘍に引き続き,咽頭から披裂部に潰瘍および小隆起を形成した。披裂部潰瘍からの生検組織で抗酸菌と乾酪壊死が証明され,細菌学的検査で M.marinumと同定された。エタンブトール,リファンピシン,レボフロキサシン,クラリスロマイシンで加療し,咽頭および披裂部潰瘍,皮膚潰瘍は治癒した。本症例報告は,極めてまれな M.marinumによる咽頭喉頭炎の報告であるが,皮膚潰瘍の原因が早期に判明すれば防げた可能性がある。免疫抑制患者ではまれな感染症まで鑑別疾患として考慮することの重要性を示唆するものと考えられる。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.17.2_199