膵嚢胞, 肝嚢胞を合併し繰り返す膵炎, 胆管炎をおこした家族性嚢胞腎に対して五苓散®️が有効であった一例

81 歳，女性。家族性嚢胞腎の診断で当院外来で加療中。膵臓，肝臓にも多数の嚢胞を認め膵炎，胆管炎を繰り返しており，蛋白分解酵素阻害剤，利胆剤が投与されていたが改善認めず，当科紹介となった。バソプレシン V2受容体拮抗薬であるトルバプタンは腎嚢胞増大抑制に有効であり，保険適用があるが，膵嚢胞，肝嚢胞を合併した症例において有用性が示された報告はない。膵嚢胞，肝嚢胞を合併した家族性嚢胞腎の患者において，マルチプルアクアポリン阻害効果を有する五苓散®️を投与し有用であった症例を経験したので報告する。