女性疾患と漢方治療
総合診療の現場では,複数の愁訴を併せ持つ女性症例を多く経験する。多剤多義である漢方はそのような症例に良い適応となりうる。本稿では,総合診療領域で女性に頻用され,使用目標が明確で分かりやすく,効果を実感しやすい漢方薬を,症例を交えながら使用法を概説する。1.「更年期障害,多愁訴の女性に加味逍遥散」月経前〜月経中,もしくは更年期周辺など性周期に関連した症状で,かつ精神症状を伴う病態に適応となる。特に更年期障害においては,内分泌変動だけでなく,ライフサイクルの節目としての社会的・個人的要因が複雑に絡み合い,不安やイライラなどの精神症状を生じやすい。加味逍遥散は精神症状とのぼせを有する症例に効果が高い...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本病院総合診療医学会雑誌 2014/12/31, Vol.7(2), pp.25-30 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 総合診療の現場では,複数の愁訴を併せ持つ女性症例を多く経験する。多剤多義である漢方はそのような症例に良い適応となりうる。本稿では,総合診療領域で女性に頻用され,使用目標が明確で分かりやすく,効果を実感しやすい漢方薬を,症例を交えながら使用法を概説する。1.「更年期障害,多愁訴の女性に加味逍遥散」月経前〜月経中,もしくは更年期周辺など性周期に関連した症状で,かつ精神症状を伴う病態に適応となる。特に更年期障害においては,内分泌変動だけでなく,ライフサイクルの節目としての社会的・個人的要因が複雑に絡み合い,不安やイライラなどの精神症状を生じやすい。加味逍遥散は精神症状とのぼせを有する症例に効果が高い。2.「右下腹痛+機能性便秘に大黄牡丹皮湯」下腹痛で受診する患者のうち,右側優位の痛み,かつ頑固な便秘のある患者に適応となる。特に消化器疾患・婦人科疾患などの器質的病態が除外され,治療方針に難渋する下腹痛の症例に対し次の一手として提案でき,かつ効果も期待できる。3.「四肢末梢の冷えに当帰四逆加呉茱萸生姜湯」『温める』治療は漢方の独壇場である。冷えの中でも,四肢末梢の冷えに対して用いられる。凍瘡では第一選択の漢方処方である。漢方においては,女性は月経の存在により,気血水バランスの不均衡を生み出しやすく,そのため複数の症状を生じやすいと言われる。複合薬物である漢方は,多愁訴を有する女性にとって,心身の健康を助けるひとつの手段となり得るもので,総合診療の現場においても有用である。 |
---|---|
ISSN: | 2185-8136 2758-7878 |
DOI: | 10.60227/jhgmwabun.7.2_25 |