関節リウマチに対するトシリズマブの使用経験

関節リウマチ(RA)は骨・関節を炎症の主座とする全身性自己免疫疾患である。炎症状態が持続すると骨破壊や身体活動性低下をきたすが,その病態形成にはInterleukin-6 (IL-6)の過剰産生が関わっている。トシリズマブはIL - 6 の作用を特異的に阻害するヒト化抗IL- 6 受容体抗体であり,そのRA治療における有用性は広く認められている。当院において2009 年 5 月〜 2012 年 3 月までの間にトシリズマブ治療を導入した関節リウマチ症例に関して臨床的検討を行った。症例は 14 例で男性 5 例,女性 9 例,平均年齢は 54.2 歳であった。疾患活動性を表すSimplified...

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Veröffentlicht in:日本病院総合診療医学会雑誌 2013/03/31, Vol.4(1), pp.26-32
Hauptverfasser: 渡邉, 秀之, 平瀬, 伸尚, 合田, 英明, 河野, 晴奈, 西川, 寛, 迎, 久美子, 有田, 好之, 生山, 祥一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:関節リウマチ(RA)は骨・関節を炎症の主座とする全身性自己免疫疾患である。炎症状態が持続すると骨破壊や身体活動性低下をきたすが,その病態形成にはInterleukin-6 (IL-6)の過剰産生が関わっている。トシリズマブはIL - 6 の作用を特異的に阻害するヒト化抗IL- 6 受容体抗体であり,そのRA治療における有用性は広く認められている。当院において2009 年 5 月〜 2012 年 3 月までの間にトシリズマブ治療を導入した関節リウマチ症例に関して臨床的検討を行った。症例は 14 例で男性 5 例,女性 9 例,平均年齢は 54.2 歳であった。疾患活動性を表すSimplified Disease Activity Index(SDAI)の平均値は,37.7 であり高疾患活動性であった。疾患活動性は 3 年間の観察期間で平均SDAIが 37.7 から 12.5 へと低下し,改善を認めた。観察期間中の中止例は 2 例で,中止理由は血小板減少症の増悪および悪性腫瘍の発見であった。他の 1 例では経過中に重篤な感染症(下顎部蜂窩織炎および重症肺炎)を発症したが,回復後にトシリズマブを再投与し,その後は低疾患活動性を維持している。当院でトシリズマブを導入したRA症例は病期の進行例が多く,高疾患活動性であったが,有意な治療効果を認めており,忍容性は高いと考えられた。RAの生物学的製剤による治療が普及するにつれ,今後,総合診療医が治療に直接関与したり,治療中の患者を診療したりする機会も多くなると予測される。本報告ではトシリズマブによるRA治療の有用性やリスクついて自験成績を検討し,総合診療医の今後の臨床に役立つと考えられる知見をまとめた。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.4.1_26