各国の放射線疫学コホート研究における手法の相違点

「I 背景」高線量高線量率の放射線が人体に組織反応(確定的影響)及び確率的影響を与えることは原爆被爆者の調査等から明らかにされている. 一方, 低線量低線量率の放射線による健康影響については, これまでに多くの疫学調査が実施されたにもかかわらず, 明確なコンセンサスは得られていない. この理由は低線量放射線自体の持つリスクがおそらく小さく検出が困難であることに加え, 各調査で対象とされた集団や用いられている手法が異なり, 更にその違いに起因したリスク推定値のばらつきも一因と思われる. 例えば原子力発電施設従事者と軍事産業従事者とでは, さまざまな特性が異なるため, 両者に対して同一の解析手法を...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:保健物理 2017, Vol.52(4), pp.265-274
Hauptverfasser: 工藤, 伸一, 石田, 淳一, 吉本, 恵子, 古田, 裕繁, 笠置, 文善
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「I 背景」高線量高線量率の放射線が人体に組織反応(確定的影響)及び確率的影響を与えることは原爆被爆者の調査等から明らかにされている. 一方, 低線量低線量率の放射線による健康影響については, これまでに多くの疫学調査が実施されたにもかかわらず, 明確なコンセンサスは得られていない. この理由は低線量放射線自体の持つリスクがおそらく小さく検出が困難であることに加え, 各調査で対象とされた集団や用いられている手法が異なり, 更にその違いに起因したリスク推定値のばらつきも一因と思われる. 例えば原子力発電施設従事者と軍事産業従事者とでは, さまざまな特性が異なるため, 両者に対して同一の解析手法を適用しても異なる結果が得られることが考えられる. また, 同一集団に対しても異なるモデルや調整変数を適用した場合には, 異なるリスク推定値が算出される.
ISSN:0367-6110
1884-7560
DOI:10.5453/jhps.52.265