原子力事故後の住民への介入はどのようにして正当化されるのか: 国際放射線防護委員会の放射線防護体系に基づくアプローチ
「I 緒論」原子力事故後の居住地域において放射線による健康影響の防止やそのリスク(以下, 放射線リスク)を低減するためには, 避難や除染などの防護措置を実施するなど, 住民の日常生活への介入が必要となる. これらの介入は住民の放射線リスクを低減する一方で, 人々の日常生活に避けがたく変化をもたらし活動を制限してしまうことがある. 例えば避難は非汚染地域へ転居することで被ばくを回避できるが, 一方で住み慣れた土地からの離散によって個人の日常生活に直接的な断絶をもたらす. 除染や食物摂取制限のように線源への介入の場合であっても, 一時的な施設の利用停止や商品の制限など, 人々の日常生活に間接的な影...
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Veröffentlicht in: | 保健物理 2016, Vol.51(3), pp.147-159 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I 緒論」原子力事故後の居住地域において放射線による健康影響の防止やそのリスク(以下, 放射線リスク)を低減するためには, 避難や除染などの防護措置を実施するなど, 住民の日常生活への介入が必要となる. これらの介入は住民の放射線リスクを低減する一方で, 人々の日常生活に避けがたく変化をもたらし活動を制限してしまうことがある. 例えば避難は非汚染地域へ転居することで被ばくを回避できるが, 一方で住み慣れた土地からの離散によって個人の日常生活に直接的な断絶をもたらす. 除染や食物摂取制限のように線源への介入の場合であっても, 一時的な施設の利用停止や商品の制限など, 人々の日常生活に間接的な影響を及ぼしうる. したがってこれらの介入を実施する際には, 放射線リスクだけでなく人々の生活に及ぼす影響を多様な観点から検討する必要がある. |
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ISSN: | 0367-6110 1884-7560 |
DOI: | 10.5453/jhps.51.147 |