福岡県下の水域内堆積物中における放射性核種濃度の分布と特徴

「I 緒言」岩石は風化されて微小な砂粒子や泥粒になる. これら大小さまざまな岩石片や鉱物片あるいは粘土鉱物粒子等の砕屑物は, 流水, 重力, 波, 沿岸流, 潮流及び風力等によって運搬され, 弱まったところで礫, 砂及び粘土成分として沈積する. 堆積物の沈積は, ダムや港では大きな関心事であり, 機能維持のためには流入する土砂の浚渫や掘削, 排砂が必要となる. この堆積する水域環境の保全を図る観点から, 水中底部への堆積速度を見積もるために, 放射性壊変による多様な時間軸を持つ天然及び人工放射性核種がトレーサーとして用いられる. 天然放射性核種は鉱物の結晶格子中の微量元素として, 鉱物の種類に...

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Veröffentlicht in:保健物理 2016, Vol.51(2), pp.98-106
Hauptverfasser: 楢崎, 幸範, 藤高, 和信
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I 緒言」岩石は風化されて微小な砂粒子や泥粒になる. これら大小さまざまな岩石片や鉱物片あるいは粘土鉱物粒子等の砕屑物は, 流水, 重力, 波, 沿岸流, 潮流及び風力等によって運搬され, 弱まったところで礫, 砂及び粘土成分として沈積する. 堆積物の沈積は, ダムや港では大きな関心事であり, 機能維持のためには流入する土砂の浚渫や掘削, 排砂が必要となる. この堆積する水域環境の保全を図る観点から, 水中底部への堆積速度を見積もるために, 放射性壊変による多様な時間軸を持つ天然及び人工放射性核種がトレーサーとして用いられる. 天然放射性核種は鉱物の結晶格子中の微量元素として, 鉱物の種類に依存して存在する. 鉱物中の放射性核種は浸食, 風化や腐食の過程を経て鉱物中から溶脱したり, 土壌と共に流亡したりして水域内へ輸送された後, 堆積物に取り込まれる. 水域で濃度の増加が見受けられる放射性核種には, これらの自然な負荷に加えて, リン酸塩肥料に含まれる238U系列核種や原子力発電所から排出される3H及び大気圏内核爆発実験の核分裂生成物として地球上に広く降下した137Cs等がある.
ISSN:0367-6110
1884-7560
DOI:10.5453/jhps.51.98