ゲフィチニブ単剤療法における肝機能障害発現とBMIの関連性に関する後方視的調査

「要旨和訳」ゲフィチニブは, 上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: 以下, EGFR)チロシンキナーゼを阻害する分子標的薬であり, EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の1次治療において有用性が示されている. 一方で, ゲフィチニブの投与継続性に影響を及ぼす重篤な有害事象も報告されており, その1つに, 肝機能障害(以下, 肝障害)が挙げられる. ゲフィチニブによる肝障害発現に, ゲフィチニブの血中濃度高値が示唆される報告も散見されるが, 実臨床において, 体格差と肝障害発現の関連性を評価した報告は未だない. 本研究は, body mass in...

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Veröffentlicht in:日本臨床腫瘍薬学会雑誌 2019, Vol.9, p.13-19
Hauptverfasser: 古野龍也, 木村早希子, 荒金尚子, 田崎正信, 成澤寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨和訳」ゲフィチニブは, 上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor: 以下, EGFR)チロシンキナーゼを阻害する分子標的薬であり, EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の1次治療において有用性が示されている. 一方で, ゲフィチニブの投与継続性に影響を及ぼす重篤な有害事象も報告されており, その1つに, 肝機能障害(以下, 肝障害)が挙げられる. ゲフィチニブによる肝障害発現に, ゲフィチニブの血中濃度高値が示唆される報告も散見されるが, 実臨床において, 体格差と肝障害発現の関連性を評価した報告は未だない. 本研究は, body mass index (以下, BMI)に着目し, ゲフィチニブ投与後の重篤な肝障害発現に関するリスク因子を調査した. 対象は, 2007年7月から2016年8月に, 佐賀大学医学部附属病院でゲフィチニブ単剤療法を開始したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者113名とした. 軽度/非肝障害群(Grade0-1)と重篤な肝障害発現群(≧Grade2)の2群に分け, 多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ, ゲフィチニブ単剤療法開始前のBMI値が重篤な肝障害の発現に有意に関連していた(調整OR, 0.860; 95%CI, 0.741~0.997; p=0.046). また, receiver operating characteristic 解析により投与開始前BMI値のカットオフ値を求めたところ, 21.6kg/m2であった. BMIが低値の症例にゲフィチニブ単剤療法を施行する際には, 重篤な肝障害の発現に十分注意する必要があると考えられる.
ISSN:2189-129X