13年間以上の神経伝導検査を追うことができた真の神経性胸郭出口症候群の1例

13年間以上の神経伝導検査を追うことができた真の神経性胸郭出口症候群 (TN-TOS) の1例を報告する。65歳, 女性。25年前から右母指球萎縮を自覚し, 14年前から当科一般外来で経過観察されていた。徐々に巧緻運動障害が進み, 専門外来を受診した。右母指球筋萎縮が顕著で, T1領域中心の筋力低下と前腕内側の感覚障害があった。神経伝導検査では, 右短母指外転筋 (APB) の複合筋活動電位 (CMAP) 振幅が著減, 内側前腕皮神経感覚神経活動電位が消失していた。TN-TOSと診断し鎖骨上窩進入で展開すると腕神経叢下幹深層に異常筋束があり, これを切離すると術後2年で手指筋力は回復したが,...

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Veröffentlicht in:臨床神経生理学 2023/08/01, Vol.51(4), pp.145-149
Hauptverfasser: 山本, 真一, 桐山, 真美, 三上, 容司, 園生, 雅弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:13年間以上の神経伝導検査を追うことができた真の神経性胸郭出口症候群 (TN-TOS) の1例を報告する。65歳, 女性。25年前から右母指球萎縮を自覚し, 14年前から当科一般外来で経過観察されていた。徐々に巧緻運動障害が進み, 専門外来を受診した。右母指球筋萎縮が顕著で, T1領域中心の筋力低下と前腕内側の感覚障害があった。神経伝導検査では, 右短母指外転筋 (APB) の複合筋活動電位 (CMAP) 振幅が著減, 内側前腕皮神経感覚神経活動電位が消失していた。TN-TOSと診断し鎖骨上窩進入で展開すると腕神経叢下幹深層に異常筋束があり, これを切離すると術後2年で手指筋力は回復したが, 母指対立運動障害が残存している。これまでTN-TOSにおけるAPB CMAPの経時的推移の報告はない。本例では当初のCMAP振幅は保たれていたが, 既に時間的分散が出現していた。軸索変性進行前の的確な診断と手術治療が望まれる。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.51.145