蜂刺傷後に急性多発根神経炎を呈した1例

全身50か所におよぶミツバチ刺傷後のアナフィラキシーショックと横紋筋融解症を克服したものの, その後筋力低下が進行し, 多発根神経炎と考えられた75歳男性例を経験した。集中治療室には入室したが, 鎮静は行われなかった。第6病日に集中治療室を退室しリハビリテーションが開始されたが, 四肢筋力低下が進行, 上肢は口まで手が届かず歩行には支持介助が必要であった。第19病日に神経伝導検査を行い, 活動電位振幅低下に加えて伝導速度低下とF波潜時の延長がみられた。第22病日の髄液検査では蛋白が42.8 mg/dLであった。抗GM1-IgG抗体と抗GQ1b-IgG抗体は陰性であったが, 自己免疫性神経炎と判...

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Veröffentlicht in:臨床神経生理学 2020/08/01, Vol.48(4), pp.168-172
Hauptverfasser: 高井, 一志, 長谷川, 修, 井上, 純一, 三村, 知之, 谷, 栄了, 松永, 徹也, 中村, 彩紗
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:全身50か所におよぶミツバチ刺傷後のアナフィラキシーショックと横紋筋融解症を克服したものの, その後筋力低下が進行し, 多発根神経炎と考えられた75歳男性例を経験した。集中治療室には入室したが, 鎮静は行われなかった。第6病日に集中治療室を退室しリハビリテーションが開始されたが, 四肢筋力低下が進行, 上肢は口まで手が届かず歩行には支持介助が必要であった。第19病日に神経伝導検査を行い, 活動電位振幅低下に加えて伝導速度低下とF波潜時の延長がみられた。第22病日の髄液検査では蛋白が42.8 mg/dLであった。抗GM1-IgG抗体と抗GQ1b-IgG抗体は陰性であったが, 自己免疫性神経炎と判断し, 第29〜33病日に免疫グロブリン療法を行った。筋力の回復とともに徐々に日常生活動作が改善し, 第58病日に独歩を獲得, 階段昇降が可能となった時点で自宅に退院した。この間に神経伝導検査を2回再検し, 左右非対称の複合筋活動電位振幅と複合感覚神経電位振幅の低下を認め, 急性運動感覚性軸索型ニューロパチーと考えられた。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.48.168