敗血症に対する緩徐低効率濾過透析 (SLED-f) 施行中のバンコマイシンクリアランスを求めた一症例
「要旨」: 緩徐低効率濾過透析(sustained low efficiency dialysis with filtration:SLED-f)実施中の薬物動態に関する情報は極めて少なく, バンコマイシン(VCM)の投与量基準も定められていない. 今回, SLED-f前後でのVCM血中濃度測定を行い, VCMクリアランスを求めた1症例について報告する. 本症例は, 末期腎不全にて維持透析を行っている患者で, 呼吸苦と顔面全体の腫脹が出現したため当院へ救急搬送された. 肺水腫を認め, さらに, 左眼窩蜂窩織炎に伴う敗血症の診断にて, SLED-fの導入とVCM投与が開始となった. 初回投与とし...
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Veröffentlicht in: | 日本急性血液浄化学会雑誌 2024-06, Vol.15 (1), p.54-58 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」: 緩徐低効率濾過透析(sustained low efficiency dialysis with filtration:SLED-f)実施中の薬物動態に関する情報は極めて少なく, バンコマイシン(VCM)の投与量基準も定められていない. 今回, SLED-f前後でのVCM血中濃度測定を行い, VCMクリアランスを求めた1症例について報告する. 本症例は, 末期腎不全にて維持透析を行っている患者で, 呼吸苦と顔面全体の腫脹が出現したため当院へ救急搬送された. 肺水腫を認め, さらに, 左眼窩蜂窩織炎に伴う敗血症の診断にて, SLED-fの導入とVCM投与が開始となった. 初回投与としてVCM 2g(28mg/kg)が投与され, 投与終了30分後にSLED-fが実施された. SLED-fのヘモフィルター膜素材はpolymethyl methacrylate(1.8m2)を使用し, 血液流量200mL/min, 透析液流量2L/h, 濾過流量2.9L/h, 補液流量2.5L/hの設定で, 透析時間は6時間であった. SLED-f開始直前, SLED-f終了1時間後のVCM血中濃度は, それぞれ63.3μg/mL, 22.0μg/mLであった. 得られたVCM濃度より算出したVCMクリアランスは5.56L/hとなり, 腎機能正常時と同等となった. |
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ISSN: | 2185-1085 |