昏睡型急性肝不全治療における大量血液浄化療法の役割と注意点

「要旨」:肝性脳症を伴う急性肝不全において, 唯一エビデンスが確立した治療法は肝移植のみであり, 欧米における治療の第一選択は肝移植である. 日本では慢性的な脳死ドナー不足のため, 生体肝移植を念頭に, まずは内科的治療を行うことがほとんどである. この内科的治療の中心となるのが人工肝補助療法(artificial liver support:ALS)と呼ばれ, 肝性脳症からの覚醒を効率的に行い, 肝機能維持目的に血液浄化療法が施行される. ALSとして従来より血漿交換療法(plasma exchange:PE)や持続的血液透析濾過(continuous hemodiafiltration:C...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本急性血液浄化学会雑誌 2023-12, Vol.14 (2), p.106-111
Hauptverfasser: 坂井薫, 秦浩一郎, 塚本達雄, 山田博之, 松原雄, 岡島英明, 波多野悦朗, 柳田素子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:肝性脳症を伴う急性肝不全において, 唯一エビデンスが確立した治療法は肝移植のみであり, 欧米における治療の第一選択は肝移植である. 日本では慢性的な脳死ドナー不足のため, 生体肝移植を念頭に, まずは内科的治療を行うことがほとんどである. この内科的治療の中心となるのが人工肝補助療法(artificial liver support:ALS)と呼ばれ, 肝性脳症からの覚醒を効率的に行い, 肝機能維持目的に血液浄化療法が施行される. ALSとして従来より血漿交換療法(plasma exchange:PE)や持続的血液透析濾過(continuous hemodiafiltration:CHDF)が施行されて来た. 近年, 透過性の高いヘモフィルターを用いて血液濾過量増加を目的とした血液浄化法により, より高い脳症覚醒率が得られる可能性も報告されている. 当院では脳死および生体肝移植への橋渡し療法として種々のALSを施行してきており, 本稿では大量濾過を含む血液浄化法の施行条件, 効果および有害事象について概説する.
ISSN:2185-1085