白血球細胞外トラップ放出に及ぼす抗凝固薬の影響: ラット全血を用いた検討

敗血症診療において,急性血液浄化療法を施行中に遭遇する問題の一つに回路内凝血がある。回路内凝血のメカニズムとして,回路内での凝固活性化だけでなく,白血球細胞外トラップの関与が示唆されている。回路内凝血を予防する目的で抗凝固薬が使用されるが,抗凝固薬が白血球細胞外トラップ放出に及ぼす影響については十分に解明されていない。今回,ラットの全血をクエン酸もしくは未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)で抗凝固したうえで,エンドトキシンで刺激した白血球細胞外トラップ放出の様子を,蛍光顕微鏡を用いて観察した。UFHで抗凝固を行った血液は,クエン酸で抗凝固を行った血液と比べて白...

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Veröffentlicht in:日本急性血液浄化学会雑誌 2019/06/01, Vol.10(1), pp.16-20
Hauptverfasser: 十時, 崇彰, 伊藤, 隆史, 八島, 望, 垣花, 泰之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:敗血症診療において,急性血液浄化療法を施行中に遭遇する問題の一つに回路内凝血がある。回路内凝血のメカニズムとして,回路内での凝固活性化だけでなく,白血球細胞外トラップの関与が示唆されている。回路内凝血を予防する目的で抗凝固薬が使用されるが,抗凝固薬が白血球細胞外トラップ放出に及ぼす影響については十分に解明されていない。今回,ラットの全血をクエン酸もしくは未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)で抗凝固したうえで,エンドトキシンで刺激した白血球細胞外トラップ放出の様子を,蛍光顕微鏡を用いて観察した。UFHで抗凝固を行った血液は,クエン酸で抗凝固を行った血液と比べて白血球細胞外トラップを放出した細胞数が多かった。抗凝固薬としてUFHを投与することは,過剰な凝固活性化を防ぐ意義がある一方で,細胞外トラップ放出を促進させる可能性があるため,注意が必要と考えられた。
ISSN:2185-1085
2434-219X
DOI:10.34325/jsbpcc.10.1_16