教育無償化における「贈与交換」論の思想的意義の検討 - あるいは, 「贈与の大学」について
「1. はじめに」 「大学の学費をタダにして, 返さなくてもいい奨学金を創設しよう. 大学の無償化は, 真の自由を手にするのと同じことだ」2012年9月に日本政府が「国際人権規約」第13条第2項における中等・高等教育の漸進的無償化に関する(b)項, (c)項の留保撤回を行ってから, すでに6年以上が経過した. こうした中で, ようやく大学教育の無償化に関する議論が日本でも進み始めている. ヨーロッパ諸国が大学教育の無償化を実現していったのが1970年代のことであったのを考えると, すでに遅れること40年余りである. ところが, ようやく開始されたこの大学無償化の議論は, 誰もが自由に高等教育の...
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Veröffentlicht in: | 名古屋女子大学紀要 家政・自然編 人文・社会編 2019-03 (65), p.277-288 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」 「大学の学費をタダにして, 返さなくてもいい奨学金を創設しよう. 大学の無償化は, 真の自由を手にするのと同じことだ」2012年9月に日本政府が「国際人権規約」第13条第2項における中等・高等教育の漸進的無償化に関する(b)項, (c)項の留保撤回を行ってから, すでに6年以上が経過した. こうした中で, ようやく大学教育の無償化に関する議論が日本でも進み始めている. ヨーロッパ諸国が大学教育の無償化を実現していったのが1970年代のことであったのを考えると, すでに遅れること40年余りである. ところが, ようやく開始されたこの大学無償化の議論は, 誰もが自由に高等教育の恩恵に浴することを謳いながらも, 高等教育が「真の自由を手にするのと同じこと」ではないようである. 例えば, 2018年1月22日の第196回国会における内閣総理大臣の施政方針演説では, 「経済的に厳しい家庭の子どもたち」への支援の拡充によって「真に必要な子どもたちの高等教育無償化」を行うとともに, 「社会のニーズにしっかりと応えられる人材を育成できるよう, 学問追究のみならず人づくりにも意欲を燃やす大学に限って, 無償化の対象」とすると述べられている. |
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ISSN: | 2185-7962 |