市中獲得型MRSA (CA-MRSA) の高病原性に関する研究 : オキサシリン高度耐性化とfudoh 領域の影響
目的: 市中獲得型MRSA (CA-MRSA) の出現は最近10年間で世界的流行の様式になりつつある. CA-MRSAの高病原性はヒト白血球を破壊するPVL (Panton-Valentine leukocidin) と呼ばれる毒素を産生する能力と関連があると考えられている. CA-MRSAは, 病院獲得型MRSA (HA-MRSA) と称する現存するMRSAとは明確に区別されており, βラクタム薬に抵抗性が低く, かつ, βラクタム薬以外の異なる抗生物質に対して抵抗性が限定的である. また, CA-MRSAは, SCCmec (staphylococcal cassette chromoso...
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Veröffentlicht in: | 順天堂医学 2010/02/28, Vol.56(1), pp.56-67 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的: 市中獲得型MRSA (CA-MRSA) の出現は最近10年間で世界的流行の様式になりつつある. CA-MRSAの高病原性はヒト白血球を破壊するPVL (Panton-Valentine leukocidin) と呼ばれる毒素を産生する能力と関連があると考えられている. CA-MRSAは, 病院獲得型MRSA (HA-MRSA) と称する現存するMRSAとは明確に区別されており, βラクタム薬に抵抗性が低く, かつ, βラクタム薬以外の異なる抗生物質に対して抵抗性が限定的である. また, CA-MRSAは, SCCmec (staphylococcal cassette chromosome mec) と呼ばれるMSSAからMRSAに変える動く遺伝子上に異なるレパートリーを保持している.方法: 近年, CA-MRSAが病院内に侵入し, あらゆる強力なβラクタム薬に曝露されることによりβラクタム薬の高度耐性を獲得し始めている. このことは, われわれにマイクロアレイの遺伝子発現解析によりCA-MRSAの代表株であるUSA300の異なる病原性遺伝子の発現に対し高度耐性獲得の影響を評価するための動機となっている. われわれはさらに, HA-MRSAゲノムにより運び込まれたSCCmecに特徴的に見つけ出されたfudoh領域の病原性遺伝子の転写効果を検証した. 結果: 遺伝子発現プロファイル解析およびPVLアッセイの結果, USA300のオキサシリン高度耐性変異株は, 親株と比べ毒素遺伝子の転写が増強し, PVL産生量が増大した. 一方で, fudoh導入変異株は, 多くの病原性遺伝子の転写を抑制させる結果となった.考察: CA-MRSAがオキサシリンに高度耐性化すると, 病原性が増強する可能性が示唆された. このことは, CA-MRSAに対するβラクタム薬の治療方法が, 病院内でより強毒なCA-MRSAを出現させる結果になるかもしれないことを示唆している. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.56.56 |