腹水中に腫瘍細胞が出現した胎児型横紋筋肉腫の1例

「はじめに」横紋筋肉腫は, 小児に発生する悪性軟部腫瘍の中で最も頻度が高い. しかし, 他の肉腫と同様, 体腔液中に腫瘍細胞が出現する症例は稀であり, その報告は少ない. 今回, 腹水中に腫瘍細胞が出現した胎児型横紋筋肉腫の1例を経験したので報告する. 「症例」症例は1歳男児. 腹部腫瘤にて当院紹介受診となった. 腹部CTにて後腹膜に10cm大の腫瘍が認められ, 診断確定のため腫瘍生検術が施行された. 術中時に採取された腹水細胞診では, N/C比が極めて大きい小型類円形腫瘍細胞が孤在性に出現しており, 悪性リンパ腫や小細胞癌などが鑑別に挙げられた. 組織診で胎児型横紋筋肉腫の診断を受け, 化学...

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Veröffentlicht in:金沢大学つるま保健学会誌 2012-12, Vol.36 (2), p.73-77
Hauptverfasser: 尾崎聡, 北村星子, 池田博子, 梶井美里, 河原栄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」横紋筋肉腫は, 小児に発生する悪性軟部腫瘍の中で最も頻度が高い. しかし, 他の肉腫と同様, 体腔液中に腫瘍細胞が出現する症例は稀であり, その報告は少ない. 今回, 腹水中に腫瘍細胞が出現した胎児型横紋筋肉腫の1例を経験したので報告する. 「症例」症例は1歳男児. 腹部腫瘤にて当院紹介受診となった. 腹部CTにて後腹膜に10cm大の腫瘍が認められ, 診断確定のため腫瘍生検術が施行された. 術中時に採取された腹水細胞診では, N/C比が極めて大きい小型類円形腫瘍細胞が孤在性に出現しており, 悪性リンパ腫や小細胞癌などが鑑別に挙げられた. 組織診で胎児型横紋筋肉腫の診断を受け, 化学療法および自家末梢血幹細胞移植が施行された. 治療開始から約1年が経過し, 腫瘍は著明に縮小した. 「腹水細胞診所見」パパニコロー染色標本では, N/C比の高い小型円形腫瘍細胞が多数見られ, 上皮性結合は明らかではなかった. クロマチンは細顆粒状に増加し, 小型の核小体が見られた.
ISSN:1346-8502