嗅覚系におけるCO2センシングの分子機構

自然界に生きる野生動物にとって,嗅覚を用いて周囲の状況を察知することは生存のために極めて重要である.においを受容する嗅上皮には,センサーである嗅覚受容体が発現しており,それを介して様々なにおいを識別している.マウスでは約1000種類,ヒトでは約400種類の嗅覚受容体遺伝子が存在することから,“嗅上皮は生体において最大の化学センサーを有する器官である”と言える.近年,興味深いことに,マウスなど一部の哺乳類は,ヒトには無臭である二酸化炭素(CO2)のようなガス分子までも,嗅覚により感知できることが明らかにされている.そこで本総説では,嗅覚によるCO2の感知メカニズムに焦点を当てて,筆者らを含めた最...

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Veröffentlicht in:におい・かおり環境学会誌 2015/05/25, Vol.46(3), pp.209-217
Hauptverfasser: 高橋, 弘雄, 坪井, 昭夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:自然界に生きる野生動物にとって,嗅覚を用いて周囲の状況を察知することは生存のために極めて重要である.においを受容する嗅上皮には,センサーである嗅覚受容体が発現しており,それを介して様々なにおいを識別している.マウスでは約1000種類,ヒトでは約400種類の嗅覚受容体遺伝子が存在することから,“嗅上皮は生体において最大の化学センサーを有する器官である”と言える.近年,興味深いことに,マウスなど一部の哺乳類は,ヒトには無臭である二酸化炭素(CO2)のようなガス分子までも,嗅覚により感知できることが明らかにされている.そこで本総説では,嗅覚によるCO2の感知メカニズムに焦点を当てて,筆者らを含めた最新の知見を紹介し,バイオセンサーへの応用についても言及する.
ISSN:1348-2904
1349-7847
DOI:10.2171/jao.46.209