持続臭気の時間依存強度と知覚特性の関係

従来,持続提示される臭気のニオイの感覚強度の時間依存性は,指数関数的に低下すると報告され嗅覚順応と説明されてきた.しかし,最近,我々は,トリエチルアミンを用いた実験で,この感覚的強度の時間依存性が多様であり,大きく5つの型(指数関数型,指数関数&矩形型,変動型,不変型,上昇型)に分けられると報告した.最も多かったのは一度減じてまた上下に変化する変動型で約50%を占め,従来から言われていた指数関数型や指数関数&矩形型は併せても全観測データ数の約30%にすぎないことが明らかにされた.本研究では,このような個人差が起きる原因を検討するため,これら強度の時間依存性の型と知覚内容との関係...

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Veröffentlicht in:におい・かおり環境学会誌 2008/11/25, Vol.39(6), pp.399-407
Hauptverfasser: 斉藤, 幸子, 綾部, 早穂, 小早川, 達
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:従来,持続提示される臭気のニオイの感覚強度の時間依存性は,指数関数的に低下すると報告され嗅覚順応と説明されてきた.しかし,最近,我々は,トリエチルアミンを用いた実験で,この感覚的強度の時間依存性が多様であり,大きく5つの型(指数関数型,指数関数&矩形型,変動型,不変型,上昇型)に分けられると報告した.最も多かったのは一度減じてまた上下に変化する変動型で約50%を占め,従来から言われていた指数関数型や指数関数&矩形型は併せても全観測データ数の約30%にすぎないことが明らかにされた.本研究では,このような個人差が起きる原因を検討するため,これら強度の時間依存性の型と知覚内容との関係を検討した.その結果,トリエチルアミンに対する13名の女性被験者のデータから,変動型あるいは不変型を示した被験者群は,指数関数型及び指数関数&矩形型を示した被験者群よりも,総合的な強度,ニオイの質「糞便臭」の知覚,不快度をより強く感じていることが示された.このことは,今後,他の臭気や男性被験者も含むより多くの被験者について確認する必要があるが,持続臭気に対する臭気強度の時間依存性の違いは,被験者がそのニオイに対して持った知覚的内容の違いと関係していることを示唆した.
ISSN:1348-2904
1349-7847
DOI:10.2171/jao.39.399